りんごの嘆き

人生の後半もだいぶ過ぎた主婦りんごの嘆き。これからは自分らしく生きる。最後は笑って終わりたい。

カテゴリ:人生色々~小説みたいな本当の話 > 元上司の離婚




元上司は話してきた。

「元妻は、子どもが欲しかったらしいんだ。でも、僕がいらないと言っていたから
それが不満だった。でも、いつかはできるだろうと希望は持っていたらしいが、
子宮の病気が悪化して全摘手術になってしまった。

手術後、実家に帰ったまま、うちには帰って来なかった。
そして、突然、離婚調停の通知が届いた。

僕は、離婚する気は全く無くて、理由を聞いたんだ。
そしたら、結婚する前と話が違うと怒っているんだ。
妻は子どもを早く産んで専業主婦をしたかったらしい。
収入は少ないし、僕が子どもを欲しがらないし、
共稼ぎをしないといけなかったし、全てが不満だったと言うんだ。

医師からは、早く子どもは産んだ方がいいと言われていたのに。
あなたは協力してくれなかった。
私は子どもを産めない身体になった。
あなたと結婚したが為に、人生が狂った。
もう一緒に生活したくない。こうなったのはあなたのせい。慰謝料も請求します。
というのが奥さんの言い分だった。」


奥さんに電話をしても出てくれず、やりとりは全て弁護士とだったそうだ。
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調停は長引いたが、結局2百万の慰謝料を渡して離婚成立。

私と話す元上司の口ぶりは、
「ここまできて、こんな事になるとはね」
と苦笑いしていた。

若い時は、自分の方が、離婚したいと思う事が多く
奥さんが別れたがらない様な力関係?だったそうで、
絶対、向こうから言い出すなんて思ってもいなかったそうだ。

「妻が実家で長く過ごした事も一因かな。親に何か言われたのかも」
と言っていた。

確かに、受け入れてくれる場所、応援してくれる場所があれば、
人生をやり直すのに心強い。
若い時なら、親に旦那さんの愚痴を言っても
親は、そう簡単に離婚してほしくない訳だし、
もう少し我慢しなさい、みたいにしか言われないだろう。

でも、早く孫を見たかったご両親にとっては、
娘の身体のことも、子どもを生もうと思えば生めたのに、
そのチャンスを奪われた訳で、
娘の旦那さんを恨む気持ちがでてきても仕方ないかもしれない。

話を聞いていて、元上司は、全く自分が悪かったとか、
後悔もしているふうには思えず、
「今更そんな事を言われてもねえ」
みたく、他人事、そして
2百万も出してやった、と自慢する。

この人は、こんな人だったのか。
若い時しか知らないけど、そんな感じはしていたけど、
何も変わっていないんだな。
と、残念な気持ちになった。

それから、しばらくの間、連絡もとっていなかったが、
久しぶりにラインが繋がった時、
元上司は、実家で1人暮らしをしており、
パーキンソン病になっており、
色々、苦労しているようだった。

あの20代の、溌剌としたモテ男だった彼が
こんな風に変わってしまうとは
人生ってわからないものだなあと
ため息がでた。





はるか昔の話になるが、
新卒で入社した会社で、一番近かった元上司とは
今でも、年賀状だけはやりとりしている。

最近、ラインが繋がり、
時々、お互いの近況を連絡し合うようになった。

私が入社した時の先輩は 、結婚したばかりだった。

上司とは言っても、まだ28歳で若かった。
毎日、新婚生活をのろけられ、
私たちはうんざりしていた(笑)

当時はもてるタイプの人だったので(ヨン様似)
奥さんは心配だったと思う。
勝手に妄想され、やきもちを焼かれた女子社員達は迷惑していた(笑)。

元上司は「僕は子どもが嫌いだからいらない。」
と言っていて、奥さんは同意しているのかなと
周りは心配していた。

当時、元上司は私にこう言って来た。

「妻は子宮に問題があって、
子どもが出来にくいと医師から言われたんだ。
出来ない訳ではないが、放置してるとできない身体になるから
子どもは早く生んだ方が良いらしいんだけど。
僕は、今はまだ収入が少ないし、子どもは嫌い。
今はいらない。もっと後でいいと言ってる。
妻に毎晩泣かれててさ、嫌になるよ。
離婚する気はお互いに無いけどね。」
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一緒に残業した時など、
人がいない場所で奥さんの愚痴を聞かされた。

奥さんに同情したし、元上司に対して嫌悪感まで感じた。

が、仕事面ではできる人で
新人の私たちへの指導が素晴らしかったので
公私混同はしなかった。

その後、私が寿退社し、県外に引っ越し
元上司とは年賀状のやり取りだけになった。

15年程過ぎた後、突然、「離婚しました」と印刷された葉書が
元上司から届いた。

同時に彼から電話もきて驚いた。
離婚するまでに色々あった様で、疲れた口調だった。
誰かに、愚痴を言いたかったのだろう。
私なら、もう関係ない人間で、事情を知っていたので
言いやすかったのだろうと思った。
                    続く





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