りんごの嘆き

人生の後半もだいぶ過ぎた主婦りんごの嘆き。これからは自分らしく生きる。最後は笑って終わりたい。

カテゴリ:人生色々~小説みたいな本当の話 > 不幸な結婚?~マリーさん



マリーさんがそんな話を私にしていた頃、御主人は時々、職場に遊びに来ていた。

奥さんの様子を気にしているのと、社長とお喋りをしに来ていた様だった。

驚いたのは、前妻と一緒に来て居た時もあったこと。
誰がどうみても離婚した夫婦には見えなかった。笑顔で楽しそうに社長と3人でお喋りしていた。

それを悲しそうに横目で見ているマリーさん。

大きな声で話すので、内容が筒抜けだった。

「今度さあ、こいつを社長にして会社作ろうと思うんだよ。俺は副社長。で、お前も加わらないかと誘いにきた」みたいな事が聞こえた。
前妻と一緒に事業を始めたいというのだ。

資金は全てご主人が出すという。

ということは、前妻と毎日一緒に過ごす事が多くなり、益々べったりになるということだった。

前妻さんは、チラチラとマリーさんの方を見ながら、笑顔で堂々と振る舞っていた。

前妻さんは悪くないし、夫の不貞で離婚を強いられた側。被害を受けた人なのだから、元夫からフォローしてもらえる事は嬉しいだろう。その気持ちは理解できる。

でも、マリーさんも嘘をつかれていた。嘘の結婚をし、悲しい思いをさせる旦那さんは罪な人と思う。


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「こういう目にあっているのは私だけじゃないの。日本人と結婚した仲間はほとんど似た様な状況。私たちは人間扱いされていない。差別されている気がする。悲しい。」

欲しいおもちゃを見つけたら、嘘をついてまで自分の物にし、逃げない様にお金で縛りつけ、子どもを取り上げる。
最低な人間がいて、そんな一族がいたってこと。


マリーさんのご主人の周りには、似た様なタイプの人がいた。この時の職場の社長も同じタイプに見えた。

いつも「や〇ざが友人にいるから」と自慢し、マウントをとろうとしていた。

私は引っ越しの為、その職場を辞めたので、マリーさんのその後はわからない。

数年後、噂で聞いたのは、御主人の実家の不動産はうまくいかなくなり、持っていた資産を手放し、会社を縮小したとか。前妻と始めた事業も失敗、借金まみれになったそうだ。

ご主人は、金使いが荒く、実家のお金も使いこみ、焦ったあげく、一攫千金話の大きな詐欺にあったらしい。

あの時の赤ちゃんは、大きくなっているはずだが、どうしているだろうか。

マリーさんは芯の強い人だ。

きっと自分の人生を納得いく結果に切り開いていると思っている。




つづき
マリーさんが結婚を申し込まれた時、ご主人はまだ既婚者だったという。

「彼はすでに離婚してると言っていた。僕と結婚すればお金を自由に使えるし、楽な生活をさせるって言ってた。全部嘘だった。」

前妻は、自分でカフェを経営しており、自立した生活を送っていた。

「浮気相手に子どもができたから、別れてほしい」と言われた前妻は、多額の慰謝料と養育費、財産分与を受け、笑顔で家を出て行ったそうだ。何故笑顔か、それは偽装離婚の様なものだったから。

御主人は、離婚後も前妻の家に頻繁に通っていた。
世間には離婚した事も言わず、前妻と夫婦として色んな行事にでており、普段も仲良くしていたので、誰もがマリーさんと再婚したとは思わなかった。見た目も親子で夫婦に見えなかった。

「旦那さんが離婚したのは形だけで、うちではまだ奥さんはあの人という扱いなの。私はただのおもちゃよ。奥さん扱いを誰もしてくれないの。」

マリーさんの結婚生活は、義理の両親と同居だった。
家事も何もかも義母が仕切っていた。

不動産業は、義親が経営しており、御主人はそこの社員扱いで、毎月親から小遣いをもらうだけ。給料をもらう事は無く、生活費は親が管理していた。

奥さんだからといって生活費を貰える事はなく、マリーさんもお小遣いを義親から貰う生活だった。
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ご両親も、前妻と当時高校生の孫を大事にし、マリーさんには冷たかったという。

マリーさんとの赤ちゃんは、義親が預かると言って、子育てもあまりさせて貰えないという。

毎日1人で部屋でぼーっと過ごすしかなかった。

泣いてご主人に訴え、「フィリピンの親に相談する」と話したら、慌ててこのパートを勧めて来たというのだ。
自由になるお金が入るし、気も紛れるので働くことにしたとのこと。

「私はこの家の何なのだろう。お金も、○○を買いたいので△円下さいとお義母さんに言わないと貰えないの。まるで子供扱い。この家のお嫁さんは私じゃなくて前の奥さん。もし出ていくとしても、絶対子どもは渡してくれない。だから別れられない。」

と悲しそうな顔をした。

これは、あくまでもある特定の人から聞いた話であり、遠い記憶を辿って書いており、話の内容は真実かどうかわかりません。その点をご理解願います

続き
マリーさんは、「私はタレントだったの。フィリピンから集団でタレントをしに出てきて、家に仕送りする人は多いのよ」

このタレントというのは、地方のフィリピンパブとか、クラブのショーのダンサーの事を意味する様だった。

「お金持ちの男性が毎日の様に通っていて、好きなタイプの子と結婚することが多いの。日本のお金持ちと結婚すれば、実家にもずっと仕送りできるし、楽な生活ができると思って皆夢みるの。」

自分の知らない世界、しかも知り合いだった人がそんな結婚をしていた事も私には刺激的だった。

出会いはどこであろうが、純粋な恋愛結婚なら良いなと思ったが、マリーさんの話を聞いているとそうじゃない人もいる様だった。

「一緒に来日した仲間も日本人のお金持ちと結婚したの。先日会ったら泣いていたわ。騙されたって。日本の男の人は、結局私たちを差別しているんだわ」

この仲間の話は詳しくは聞いていないが、結婚生活はマリーさんと似た境遇にいるらしく、お互いに慰めあっているという。
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マリーさんは、実家に仕送りをする為に日本に出稼ぎに来たのだが、実家は貧しい訳ではなさそうだった。
大きな会社を経営しており、フィリピンではお金持ちの家で、マリーさんはお嬢様なのだそうだ。

その話をご主人からも聞いたから、確かな話だろう。

何故仕送りしているのかはわからないが、もしかすると経営状態が悪化したとか、色々事情はあるのだろうと何も聞かなかった。

ダンサー時代に、毎日ご主人が店に通ってきてマリーさんに熱心にアタックしてきたのだという。

「私は他の人より色が白くて、日本人ぽいところがいいって言われたの」と嬉しそうに話す。

私が理解できなかったのは、自分たちを商品として扱われる事に割り切っている感じがしたところ。

お客に気に入ってもらうことが目的の仕事。うまくいけば結婚できて裕福な生活ができる。
シンデレラになりたくて、夢見て来日するのだという。

自分が相手を選ぶという視点が感じられない話の内容に、自分は違和感を感じたが、黙って聞いていた。個々の考え方の違いというレベルではなく、お国の事情の違い、文化や宗教、その他色々違うのだから。
狭い世界にいる自分にとって、知らない世界の人の話を聞くことは学ぶ事の方が多い。


これは、あくまでもある特定の人から聞いた話であり、遠い記憶を辿って書いており、話の内容は真実かどうかわかりません。その点をご理解願います

以前働いていた職場で、フィリピン出身の若いママ、マリーさんがパートで働いていた。

社長とマリーさんのご主人が友人で「妻が退屈しているから、ここでパートで働かせてくれないか?」と頼んできたらしい。

マリーさんのご主人は不動産業を営み、資産家でもあり裕福なお宅。
当時のマリーさんの年齢は、25歳、御主人は43歳だった。

お金持ちの御主人は、2度目の結婚でマリーさんは初婚。
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(セレブなのに奥さんを働かせるの?退屈なら習い事とか趣味のサークルとかに行かせてあげたら良いのでは?とか、まだ赤ちゃんが1歳で、子育てで忙しいはず?)と職場の人達は不思議に思っていた。

日本語がまだ片言で、友達も少ないマリーさんは、私に色々話しかけてくれた。

生きる為に働き、自分勝手な夫の尻拭いをしている自分に比べ、愛されてお金の心配もない彼女が羨ましいと思っていた。
だから素敵であろう彼女の話を聞かせてもらって、彼女といる時だけは現実を忘れようと思っていた。


ところが、マリーさんの口から出る言葉は、「不幸な結婚」「私は騙された」「子どもを奪われた」などなどの辛い生活ぶりを訴える話ばかりだった。


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