りんごの嘆き

人生の後半もだいぶ過ぎた主婦りんごの嘆き。これからは自分らしく生きる。最後は笑って終わりたい。

カテゴリ:人生色々~小説みたいな本当の話 > K美のこと


 高校の同窓会名簿が届いた。

すっかりご無沙汰で、実家に帰っても
なかなか友人に会えない。

今回も落ち着いたら会って帰ろうと思っていた、なのに
父に追い出された。

名簿で、知っている友人を探す。
卒業して長年たつので
半分は住所欄は空白だ。

そうだ、彼女はどこにいるのかな?と
K美の名前を探した。




以前書いたK美だ。

すると、亡くなっていた。

ただ亡くなった事しか書いてなく
詳しくはわからない。

縁をきっていたが
まさかの、ショックを受けた。

K美は生命力が強いイメージ。
自分の好きな生き方をしていたはず。

何だか、馬鹿みたいだなあ。

どんなに勝組になろうと頑張ってそれをゲットしても
死んじゃったら何もならないじゃないか。

こんなに早く。
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良く考えて見ると
高校時代で一番一緒にいたのはK美だ。
後から離れたけど。

大学時代の親友も、亡くなった。

どうして私の仲良かった人は
寿命が短いの。

この世が修行の場としたら
彼女らはもう卒業したの?

でも、家族が残っているよ。
悲しみ、寂しがっている。

いくら縁がきれた相手であっても
居なくなるなんて、そんなの嫌だ。

自分もいつ何があるかわからないとは前から思っている。

でも、大事な子どもたちを
まだ残してはいけない。

死ぬのは怖くなくても、
家族を悲しませるのは嫌だなあ。


その後、私が就職し、アパートを引っ越しした後もK美は「またそっちに泊めて」と言ってきた。


二度と泊めたくないと思っていた私は、仕事が忙しいから無理だと断った。

が、翌日も「構わないから泊めて」と電話がかかってきた。

「あなたに会いに行くんじゃないから、あなたはいなくてもいいのよ。鍵を貸してくれたら勝手に入って寝とくから。」と言う。

しかもまた誰かを連れてきて、2人泊まりたいという。

言い方もひどいし、断ってるのに聞かない。なぜそこまでホテル代をけちるのか。そこまでお金が惜しいなら旅行しなきゃいいだだろうって言いたくなった。


何回断っても、毎晩電話がくるので、腹がたち、電話に出ない事にして無視した。そうするしかなかった。

すると次は、会社にまで電話が来るようになった。


たまたま、外出中で良かったが、K美からの電話がきたら外出中だとか出張中だとかと誤魔化してもらうよう会社の人に頼んだ。

社内の人が優しくて協力してくれ、うまく誤魔化してくれた。それでもしつこかった。


数日しつこく電話攻めにあったが、諦めたらしく来なくなった。


その後、同級生から聞いた話だが、私を利用できなくなったK美は、次は手当たり次第に知り合いを探し、よく知らない相手にも泊めてくれと頼んだらしい。
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お金は私より持っていると自慢していたし(自宅通勤で銀行に数年勤務)、毎年旅行したいと考えているなら、他人に迷惑をかけずに自分の責任で行動すれば良いのに、と他の人も愚痴っていた。


誰もが断ったようだが、結果、K美は良く知らない高校の先輩、しかも男性のアパートに泊まったと聞いた。
流石にその先輩は、狭いアパートの同じ部屋に泊めるわけにはいかず、K美達だけを部屋に寝かせ、先輩はどこか外で過ごしたらしい。

彼も困惑しただろう。顔しか覚えていない後輩の女性から、突然アパートに泊めてくれと頼まれるなんて。
断っただろうが、おそらくK美の事だから強引に頼み、泣きついたのだろう。


この話は、誰もが呆れてK美のおかしなお金の節約ぶりと無神経さは有名になった様だ。


私はそれっきり縁を切ったつもりだった。


それから年月が経ち、同級生からK美の噂を聞いた。

銀行をくびになったという。理由は男性を追っかけた事。

お金持ちで高学歴の人と旅行先で会い、その人を追っかけて(交際もしていないのに)、家に泊めてと押しかけていったとか。


お金持ちで高学歴なら結婚相手に良いとターゲットにしたそうだ。


旅先で知り合っただけの人にいきなり泊めてと押しかけるから、流石に相手も驚いたらしい。

で、相手が逃げ腰になったので、K美は仕事をさぼってその人の所に何回も押しかけていったとか。


無断欠勤を何回も繰り返したK美は、仕事を失い、その彼からも拒否された。


それから後の事は知らなかったが、例の同窓会で会い、K美本人から聞くことになった。


しっかり高給取りの人と結婚していたのは、K美らしい。


どうあれ、幸せならいい。もうこの人とは付き合わないし。と内心思った。

もうお母さんにもなっているし、あんな非常識な事はしないだろう。

就職してから、彼女は自分のしたいようにしていた。進学ができなかった悔しい気持ちを別の形で発散したのだと思う。

そして今、納得した人生を送っている様に見えた。

真面目に地味に生きてきたつもりでも、結果いつも愚痴ってばかりで老後が不安になっている私は何なのだろうかと思う。


夫もそうだが、周りの気持ちを気にせず、したいようにしてきて、結局自分に正直なら、その方が幸せになるのかな。これは私の僻みなのだろうか。

幸せそうに見せるK美にも、何か悩みはあるだろう。

今の私にはできない「幸せなふり」ができるだけで、羨ましいのだ。


その前からちょっとムッときていた私は、その言葉を聞いて許せなくなった。


せっかく旅行に来ているんだし、ここで喧嘩しても一緒に来た友人も気を悪くするだろうし、我慢した。

「だからうちでいいの?って聞いたのよ。そう言うならホテルに泊まれば良かったのに。」とだけ私は言い返した。

無神経なK美は、私の気持ちに気が付いていない。

「いいのよ。ここで。気にしないで。」と私に言って、「ごめんね、ごめんね」とその友人に言いながら自分達だけ布団に入ってさっさと寝ていた。謝る相手が違うだろう。
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私はどうしても許せなかった。というのは、「こんな狭いボロな所で」と言うK美の言葉は、私の両親を侮辱したに等しいからだ。


借金してでも、大学にいかせたい、したい事をさせたいと、父は、自分の事は後回しで辛抱して仕送りをしてくれた。安い狭いアパートでも、私にとっては天国で嬉しい事だった。

贅沢を言ったらきりがない。実家が苦しいのはわかっていたので、感謝していた。


それを馬鹿にされ、「こんな貧乏な生活とは思わなかったわ。もっと派手にいい暮らしをしていると思ったのに、期待外れだった。他の女子大生はもっと優雅にしているわよ。」とK美に言われた時、もう二度と彼女は家に入れない、会わないと思った。


もし、私がお金持ちのお嬢様なら、全く態度が違っていたはずだ。ペコペコしてほめちぎって、家来みたいにべったりとくっついてきただろう。


貧乏人は利用するだけ。そんな人なのかと思ってしまった。


K美の信じられない行動はこれで終わらなかった。



続き


高校を卒業し、私は県外の大学、K美は地元の銀行に就職した。
成績優秀だったK美は進学したかったのだが、家庭の事情で就職になった。


私の父は、どんなに貧しくても学問だけは必要だと考えて居て、借金してでも大学まではいかせたいという人だった。その点は男女平等で感謝しているし意外だったので驚いた。

家庭によって事情も考えも違うのだから、他人があれこれ言う資格はない。


進学先へ出発する前、お別れの挨拶に仲間で集まった。

皆でワイワイ騒いでいる時、K美がぼそっと口にしたのが聞こえた。
「大学に行く人の神経を疑うわ。親にお金をださせてまで、大学に行くなんて我儘だわ。甘やかされ過ぎよ」と呟いていた。もしかするとK美の親がK美にそう言っているんじゃないかと感じた。


私は聞こえないふりをしたが、きっとK美は悔しかったんだろうなと思った。

彼女の気持ちが良くわかっていたので、進学する友人達を笑顔で送る彼女は立派だなと、大人に見えた。私が出発する時も、わざわざ駅まで見送りに来てくれ、涙がでたのを覚えている。


大学に慣れてきた頃、K美から旅行で近くまで行くのでアパートに泊めてほしいと連絡がきた。

「狭い学生アパートだけど、それでよければどうぞ」と歓迎の返事をした。
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銀行で高給取りになり、ブランドの服や好きな物を買える立場のK美と、貧乏学生の私だったが、一緒に色々お喋りして楽しい夜を過ごせるだろうとワクワクした。
部屋が狭かろうが、それも楽しくていい思い出になるのではと。

K美がやってきた。

うちに泊まるのはK美だけだと聞いていたが、もう一人知らない人も一緒だった。

私が「2人分の布団とかスペースは無いけどいいの?」と聞くと「いいの、いいの、彼女はホテルがいいって言うけど、私が無理に連れてきたの」という。

その人の知らない話ばかりもできず、予想と違ってぎくしゃくした雰囲気になった。

私はK美と徹夜で色んなお喋りをして過ごす事になると思っていたのだが、予定が狂った。


お金はあるはずだし、ホテルに泊まりたいのに、知らない人の狭いアパートに無理やり連れてこられたその人は、無口で不機嫌だった。そりゃそうだろう。

私は何回も「うちよりホテルがいいんじゃない?」と言ったのだが、K美は「いいの、いいの。気を使わなくていいから」と言うだけで、強引だった。

夜になり、私が布団を敷いていると手伝う事なくそれを見ているだけのK美は、勝手に冷蔵庫を開けて「何か食べる物はないの?私たちの為に買い物してないの?」と言いだした。

「ろくな物はないわね」と言うので、「少ない仕送りではそんなものよ」と言い返しながら布団を敷く私。

夕食は外で私がご馳走した後で、深夜にそんな事を言いだしたのだ。

いくら友人でも、勝手に冷蔵庫を開け、何もないと文句をいうのは失礼だろうと思った。

しかも泊めてもらう相手だぞ。

2人共、何か持参するとかもいっさい無かったし。
いくら貧乏学生の私でも、そこまでケチらないぞ。礼儀はあったぞ。と後から思い出して気が付く。


K美は、私に会いたくて、一緒に過ごしたくて来たのではなかった。ホテル代を浮かしたかっただけ。ただ私を利用しただけだ。

寝床作りに困って、私は布団は使わず、二人に使ってもらう事にした。

そこへK美が、連れて来た友人に言っているのが聞こえた。

「ごめんね、〇〇さん。こんな狭くて汚い所に連れてきてしまって。我慢してくれる?」

                               続く

                          

続きです。


K美とは高校1年の時、同じクラスだった。

いつも一緒で、家も近かったので、好きな音楽や色んな話をしながら一緒に帰ったりした。

あまり細かい事を気にしないタイプのK美だったので、助かった。
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だからK美とは一生仲良くしていけると信じていた。喧嘩もしたことはないし、うまくいっていた。むしろ、私の事を彼女の方が我慢してくれたのだと思う。


ただ、今思えば、突拍子もない事でK美の言動に戸惑う事はあった。

例えば、お金で人への態度を変える事があるという事。

部活の男子の先輩で、いつも制服が汚れ、ボタンをはずしてだらしなく着ている人がいた。

髪も長くてぼさぼさで、言葉使いも乱暴だった。

K美は「だらしなくて嫌ね」と先輩を嫌っていた。
話しかけられても、知らん顔をするほど。

ところが、ある日のこと、K美が私に興奮して話しかけてきた。

「びっくりしたわ。あのね、彼ってお金持ちのお坊ちゃまだったのよ!てっきり貧しい家の子と思っていたのに、見た目ではわからないわね!」と騒いでいた。


私はその話に関心がなく、「そうなんだ。でも関係ないし」みたいな反応をした。が、その後、部活にいくとK美が驚く行動にでた。


それまで嫌っていた先輩なのに、姿を見つけると走り寄っていき、
「○○さあ~ん!」と笑顔で挨拶したのだ。

先輩はびっくりして、相手にしていなかったと思う。


その後も、K美はどうにかして、先輩と仲良くなろうとすり寄っていた。

私が「今まで嫌っていたのにどうしたの。」と聞くと
「だってお金持ちなのよ!」と言うのだ。そして「最近先輩が素敵に見えてきて、好きになったかも」と言う。

え?意味がわからない。K美はお金持ちなら誰でも好きなのかと驚いた。

そのあからさまな態度の変わり方に驚いたのだ。先輩自身もそうだろう。相手にしていなかった。

それから、K美の様子を観察していると、同級生のお金持ちの女子に対しても、他の子とその子とでは、態度が違う事に気が付いた。

集団で遊んでいても、お金持ちの子が1人いると、K美はその子以外の子に対しては、馬鹿にした態度をとっていた。人がかわるのだ。

お嬢様の子には、態度が良くてとにかく気にいられたいという態度をとり、他の子には命令口調で、お嬢様のご機嫌をとるように指示したりする。

誰も指示を聞くわけがないのだが、K美だけが浮いている感じだった。


K美の家は、元々資産家だったが親が騙されて資産のほとんどを無くした経験があったらしく、親から「お金が大事、お金で人生がかわる」といつも言い聞かされて育ったと聞いていた。

そのせいなのかなと当時は思った。お金持ちの人がいない場所では、誰とでも仲良くするし失礼な態度もとらないので、特に私は気にしなかった。

もう一つ、え?と思う出来事があった。   続く



K美と何故私が縁をきろうと思ったのか。


私だって、これまで生きて来た中で、何て無神経だったのだろうとか、あの時失礼な事をしてしまったなあとか、恥かしい事ばかりしてきた。

若さゆえの未熟さもあって、反省しかない。

私も気が付かないうちに友人から縁をきられているかもしれない。
人の事をどうこう言える立場ではないのはわかっている。


でも、無理して仲良くしていく事がストレスになったり、家族に迷惑をかける位なら、相手と気まずくなる前にうまく離れた方が自分には合っている。

自分の事を棚にあげているのを自覚した上で、K美の何が、当時の自分にとってストレスだったのかを思い出してみた。

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その前に~だいぶ前に高校の同窓会の総会に一度だけ参加した事がある。

私は縁を切ったつもり、K美はそれに気が付いていない頃。

(人数が多いしクラスも違うし、会わないだろう、彼女は来ないかも)と思っていたらしっかり会ってしまった。

K美は「住所がわからず困っていたの。やっと会えた!」と嬉しそうに話しかけてきた。

トイレに行くふりをして、うまく離れたつもりが、トイレの中までついてこられ捕まってしまった。
当然か。やっと会えた友達と思っているなら。

トイレから出ると、その場でいきなり
「旦那さんの出身地は?職業と会社の名前は?会社の内容は?」「住所は?」「子どもは何人で何歳でどこに通っているのか」「弟の職業は?結婚は?」「弟の奥さんは何をしているか」「両親はどうしているのか?」
といった個人情報を機関銃の様に聞いて来た。


適当に誤魔化していると、横にいた人に私の答えをすぐに話題にしていた。「この人の旦那さんは~なんだって!」みたいに。

こんな人だったっけ。益々苦手なタイプになったな。と思った。

私がK美を嫌になったのは、こういうところではなく、他の面だった。

私は住所は教えず、夫や子どもの事も適当に答えた。

弟の事、弟嫁の事までなぜ聞いてくるのか、さっぱりわからない。
弟嫁の年齢や仕事は何をしているかまで、どこの出身かとか、恐怖を感じるほど。


私はあえて質問もせず、とにかく自分の席に戻りたいふりをした。

K美は、自分の自慢話をし始めた。「高収入の夫をつかまえて、今はセレブ生活だ」と言った。聞いてもいない人の話までしてきた。あの人は、こんな人と結婚したとか、家を買ったらしいわよとか、旦那さんの年齢とか、全く興味の無い話をしてきた。
私の事もそうやって、誰かに話したいのだろうなと感じた。

そして「せっかく会えたんだから、これからは、なるべく会いましょうよ」と言ってきた。

私がK美とは遠く離れた土地に住んでいたので救われた。


この日は、たまたま帰省中に同窓会があった。それっきり出た事は無い。

「転勤が多くて、またすぐ引っ越す予定なのよ。無理かもしれない。」と言ってうやむやにした。

それっきり、K美とは縁が切れている。向こうは探しているかもしれないが、引っ越しは現実に多く、同窓会の連絡先は実家にしている。

K美は、何となくおかしいなと感じただろうか。それとも「何か世間体が悪いことでもあるのかしら」と思っているかもしれない。自分に理由があるとは感じてないはずだ。


何か喧嘩した訳でも、トラブルも何も無い訳だし、私から嫌われたなんて思うはずがない。K美自身、私を友人だと思ってくれている訳だし、あくまでも私の我儘なのだ。

次第に苦手になっていったという事だ。


高校生の時から、就職した頃までのK美の行動が、自分には理解できないものだったから。  続く




私は、自分の人生は失敗だったと思っている。何を失敗と思うのかは人それぞれの価値観で変わるだろう。

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「自分の意志が全く入っていない、納得がいかない生き方を他人によって決められた」と言う点で失敗と思う。


配偶者は他人とは言えないが、元々は他人なのであえてそう書いた。
結婚生活について、結婚前に話し合っていたり(と思っていた)お互いにどう生きたいかを語っていた。

一致していると思っていた。まさか嘘だったとは。

そこで見抜けなかった自分の失敗だと思う。

成功したとすれば、子ども達が自分の元に生まれて来てくれた事だ。その点だけは結婚して良かった。


隣の芝生は良く見えると言うが、本当だ。


高校の同級生は、自分の方から積極的に相手を選んで、現実を良く見て、納得した結婚生活を送っている人が多い。


実は、誰にもそれぞれ色々悩みはあるのだろうが、少なくとも、騙されたと思っていそうな同級生は私の周りにはいないと思う。これは”隣の芝生”状態?

その中の1人で、学生時代に私の方から遠ざかった友人がいる。

高校生の時は、いつも一緒で仲良しだった。なのに。

私は大学、彼女は銀行勤務となり、遠く離れてしまってから関係がおかしくなった。 
  

                                                                                         続く

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