りんごの嘆き

人生の後半もだいぶ過ぎた主婦りんごの嘆き。これからは自分らしく生きる。最後は笑って終わりたい。

カテゴリ:人生色々~小説みたいな本当の話 > 社長妻のMさん

続き


娘さんは、しばらくは引越さず、ご主人のマンションに住み続ける事になった。

その土地で仕事を探す事にしたらしい。


それだけでも、ご主人と副社長の行動にブレーキがかかるのではとMさんは期待していた。


会社の中の情報は入らず、ホームページやご主人のブログしか様子がわからない。


次第に、Mさんも会社に手伝いに行く回数も減ってきた。


ご主人の態度が変わらず、定期的に帰宅し、送金もあるのでとりあえず安心はしていた。

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それから1年後、副社長は社長になった。ご主人は会長に。


実質的には彼女の会社になったようなものだった。


本当は、娘さんに後を継がしたいと考えていた様だったが、娘さんがすぐに辞めてしまった為結局愛人に渡した形になった。


ご主人は、責任が軽くなり、仕事も彼女に任せた事で楽になったと喜んでいたという。


「もうあの会社はいらないよ。自分に何かあったら彼女にあげてもいいと思っている。」と周りに話していたらしい。

経営は楽ではなく、何とかここまでやってきたという事なのだろうか。もう肩の荷をおろしたいと思ったようだ。
本当の理由は、「結婚はできない。関係はいつでも切ってもいい。慰謝料代わりに社長にする」という条件で社長の座を譲ったようだ。

高齢になってきたご主人は、若い彼女の相手がしんどくなってきた様子。

老後はゆっくり自宅ですごしたいと思い始めたのだろうか。


会社を渡していつでも、自由にのんびり過ごせるように手をうったのだろう。


何て勝手な羨ましい?話だろうか。それで良いと彼女も自分で決めた人生なら、他人がとやかく言えないが、裏ぎられ続けたMさんは気の毒だ。

Mさんも、会社に利益があれば配当がくるし、夫が会長としての報酬もあるのなら、それでいいと思うしかなかった。

Mさんは、DVで苦しんだ事を思い出し、老後、ずっと夫の世話をさせられるのは嫌だった。

今更帰って来なくていい。介護状態になってもずっと彼女に世話してもらえばいいのに、と願っていた。





続き


会社が忙しい時期には、Mさんも手伝いに行った。娘さんの様子も見がてらだったが、驚くことに例の件以来、副社長の母親も我物顔で手伝いに来ていた。


副社長とその母親が、大きな態度で振る舞い、社長と娘と奥さんは、遠慮がちにしていた。まるで副社長が社長であるかの様だった。

Mさんは、従業員に気を使わせないよう、これまでも気を使い、謙虚な態度をとり裏方の仕事を手伝っていた。それを良いことに、副社長親子はふんぞり返っていた。

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そんなある日、副社長が誰かに電話をしていた。そしてこんな事を口走っていた。

「今、臨時のパートを使っているのですよ。若い子とと老人ですよ。若い方は頭が足りなくて、老人はとろくて役に立たないのですが、うちの会社はそんな人でも雇ってあげる、いい会社なんです。」

誰が聞いても、これはMさん親子の事を悪く言っているのだとわかった。臨時のパートなど雇ってはいないし、二人というならMさん親子しかいなかった。

何てひどい事を言うのだろうか。従業員は聞いていないふりをした。

社員の1人が、社長にその話をした。奥さんと娘さんをそんな風に言われれば、社長だって副社長の本性に愛想がつくのではと期待した。

すると意外に冷静で「わかった。副社長に聞いておく。」とだけ言われたそうだ。


社長は副社長が嫉妬でそんな事を言うのだろうと、わかっていた。

そこまで自分に執着される事は、社長にとっては、むしろ気持ち良い事だったのかもしれない。

彼女に注意したところで「奥さんといつ別れるの。私は子どもまで諦めさせられたのよ。奥さんと娘に全てばらしましょうか」と言われてしまい、何も言えなかったのだ。

社長は、仕事面でも、私生活でも愛人に頼りすぎており、もう縁をきれない状況になっていた。


結局、「あの電話の内容は、うちの事では無くて他の人の話をしたらしいよ。誤解だよ。副社長は娘にも優しくしているだろう。」と社員は誤魔化されて終わった。


裏表の激しい副社長は、実は、Mさんの娘に裏で陰湿な嫌がらせを続けていた。

わざと仕事でミスをするように仕込んだり、教えて無い事を「それ何回も教えましたよね?」と責めたりした。

守ろうとする社員に対しては、辞めるように働きかけ、給料を下げ、無視をし、自分に抵抗する人は徹底して排除しようと動き出した。


結果、娘さんは「会社を辞めたい」と言い出し、社長はそれを受け入れた。副社長が自分との関係をばらす恐怖もあり、それが良いと判断した。


古くから貢献してきた社員たちも、全員排除された。電話をくれたあの社員も辞めてしまった。


Mさんは、協力してくれる社員を失い、会社の様子がわからなくなってしまった。残った従業員は副社長に媚び、気に入られた人ばかりになっていた。



Mさんの話の続き


Mさんの娘さんは、張り切ってお父さんの会社で仕事を始めた。


住むところもお父さんのマンション。


まだ若い娘さんは、社内では可愛がられる存在になった。お父さんである社長に気を使ってではなく、娘さんの素直な性格が好かれた様だ。

面白くないのが副社長。予想通りだ。


皆の前では、優しい良い上司として振る舞っている。

だが、裏では「あの子はのろまで、頭が弱い。あれではどこで働いても通用しないわ。可哀想だから雇ってあげてるだけ」などと、外部の顧客などに言いふらしていたという。


その表裏の違いに、恐怖を感じる社員や親密な顧客は、彼女に逆らえなくなる。嫌われると何をされるかわからないからだ。

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社長は娘可愛さに、追い出すどころか一緒にいられる事が嬉しそうだったとか。

それにしても、ずるい父親である。
自分だけいいとこどりだ。
彼女も家族も、両方自分の都合よくそばに置く。奥さんも彼女も幸せとは言えない。一番悪いのはMさんのご主人。

いずれ娘さんも、父親と副社長の関係に気が付くだろう。

副社長が故意に娘に2人の関係を知らせる様な行動をするのでは。と周りは心配していた。

Mさんも、それは覚悟の上だった。
もう娘は大人だし、自分が話すより娘が自分で気が付き、父親に自分の気持ちを訴えることもいいかもしれないと考えて居た。

本当は、子どもたちに知らせず、妻である自分が夫を説得してどうにかしたいところ。
でも、DV体質の夫が妻の言い分なんて聞くわけがない。

子どもの力をあてにするのは母親としてどうかと思ったが、その時のMさんは、娘に頼るしか無かった。

その上、もし自分に何かがあった時、子ども達が何も知らないままだと困る。

家庭を守る為にはやむを得ないと覚悟していた。

娘が、父親と目の前にいる会社の上司の関係を知る事は衝撃だろう。傷つくだろう。

副社長が、母親と一緒に一生ご主人に付きまとうという恐怖がある以上は、仕方がないと思っていたという。




続き


Mさんは、自分が夫の会社で働くのが一番効果的だと考えた。


しかし、それは無理な話だ。

自宅を空ける訳にはいかないし、両親の世話もある。


まずは夫が許可しないだろう。社員だって気を使うことになり嫌だろう。


自分はこれまで通り、繁忙期だけ手伝うという形でたまに顔をだすしかない。

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そんな時、就職していた娘さんが、仕事を辞めて帰ってきた。

地元で再就職先を探すところだったが、Mさんはこの娘さんをご主人の会社に入らせる事を思いついた。

ご主人のマンションに一緒に生活させる事も、二人の行動も少しは制限する事に繋がるかもしれないと考えた。

広いマンションだし、親子で生活する事は当たり前。娘さんがご主人の身の周りの世話などができれば、ご主人も喜ぶはずだ。何もしなくても普通の親なら嬉しいだろう。


おそらく副社長は、妻の様な態度で夫の部屋に入りびたり、好きにしているのだろうが、娘が行くとなるとそうはいかない。

ただし、娘を親の汚い世界に巻き込みたくはない。何も言わずに、もしお父さんの仕事を手伝う気があればどう?と聞いてみて、本人がその気になったら行かせようと思った。


うまくいけば、娘を後継者にして、副社長の野心に歯止めをかける事もできるかも。夫はいざとなれば愛人より家族を選ぶ。という自信がMさんを支えていた。


事情を何も知らないまま、娘さんはご主人の所へ行った。


娘さんに、頻繁に連絡をする事で、会社の様子が聞ける。先日電話をくれた社員にも説明し、協力をお願いした。






前回からの続き

社員の電話は続いた。

「副社長のお母さんが来られた翌日、社長と副社長が一緒に休みをとったのです。別々の理由で。でも、社員は皆わかっていました。2人に何かあったのだろうと。あ、皆気がついているんですよ。口にはださないですが。あんなあからさまで、関係がばれない方がおかしいです。

副社長のマンションの駐車場に社長の車が停めてあるのを見られていますし。でも二人はばれていないと思っているんですからね。

話がそれましたが、二人は休んだ翌日も、様子がおかしくて、暗いのです。おそらく病院にいったのでしょう。」
ここで、一旦電話がきれた。
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Mさんが一番恐れていた事が起こった様だ。自分に苦情の電話や相談に来たベテラン社員さんは二人目だ。


社長の奥さんに相談するなんて、普通はありえない。よっぽどのことだ。

それだけ会社を大事に思ってくれる良い社員さんが、彼女が原因で苦しみ、辞めさせられる。


Mさんはご主人に腹がたっていてもたってもいられなくなった。

数日後、再び電話がきた。

「実は、あの日、3人で話していた時の内容を聞いていた人がいたんです。

副社長のお母さんは、”娘はまだ若いし結婚して子どもを産んで、普通の幸せな人生を歩んでほしい。あなたが誘惑して、会社を任せると甘い言葉で誘って、娘の人生を狂わせたんです。

私は母子家庭で苦労して娘を育てました。幸せになってほしいのに、娘は一生愛人として生きていくのですか。子どもも産めないのですか。

今、あなたがすぐに奥さんと離婚して娘と結婚してくれないなら、こちらにも考えがあります。娘は別れない、いつかあなたが結婚してくれるまで待つと言っています。

子どもができたのに産めないなんて可哀想です。私も孫の顔が見たい。せっかくできた子どもを失うなんて辛すぎます。子どもを産ませて、認知してください。そして、奥さんと離婚話を進めてください。”

と訴えたそうです。社長は本来気の小さい度胸の無い人です。即答できず、お母さんに圧倒され、何も言えなかったようです。」


今のところ、ご主人からはMさんへそんな素振りは全く無く、そこまで夫が追い詰められているなんて知らなかったMさん。
どうみても、家族を捨てて彼女を選ぶ度胸は無いと確信する。夫は気が小さい。

軽い気持ちで、若い女性にちょっかいだしたつもりが、どんどん深みにはまって、相手が想像よりやり手で上手だったということか。

お母さんの気持ちは理解できる。だが、結局、ご主人と縁をきらせることは考えていないようだ。


「で、結局社長がはっきりしないので、お母さんは、”これからどうするつもりですか。娘と縁を切る時は、多額の慰謝料を払ってもらいますからね。このままずるずると関係を続けるなら、一生娘の面倒を見てもらいます。”と社長に迫ったそうです。

それでとりあえず、話は収まったそうです。社長はあの親子に死ぬまで執着されそうですね。どうにかして副社長を排除できないかと思っていましたが、ここまできたら無理なのかなあと諦めています。僕もいつまでいられるか、わかりません。

最近、また辞めるように仕向けられています。

副社長は、この件以来、更に強くなり、社員全員入れ替えようと考えて居るみたいです。自分の気に入った人、言いなりになる人だけの会社にしたいようです。

それだけではありません。あれ以来、お母さんまでもが我物顔でよく会社に来る様になったのです。
「うちの娘の会社」と人には話し、社員に対しても上から目線なんです。親子で乗っ取ろうとしているのだろうかと恐くなりました。」

Mさんは、もうここまできたら、会社もご主人も、彼女の好きに利用されてしまうと危機感を持った。

どうにかしなきゃと考えた。



続き

”副社長のお母さんがいきなり深刻な雰囲気で会社に来た”という話を聞いた時、Mさんは(もしかしたら娘と社長の関係を知り、別れさせようと話をしに来たのか?)と一瞬期待した。
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社員の電話は続く。

「社長室の中で、社長と副社長とお母さんの3人で深刻なムードで話をしていました。見学とか挨拶で来られただけなら、もっとにこやかに接して、中を案内したりするはずです。でも、お母さんは真っ直ぐに社長室に入っていき、社長も笑顔もなく黙っていました。

壁の仕切りは薄く、声が聞こえました。お母さんがほとんど話していました。”一生面倒をみてくれるのですか?とか、どう責任とってくれるのか”などの言葉が聞こえましたよ。


しばらくすると、お母さんが帰ると言うので、私が駅まで送って行きました。

お母さんは、独り言の様に”早く孫の顔を見たいのに。困ったものだわ”と悲しそうに呟いていました。私はどう答えていいのかわからず黙っていました。」

お母さんは、別れさせたい気持ちがあるのは確かだろう。親なら当然だとMさんは少し心強い気持ちになった。が、その後に聞いた言葉が、Mさんをショックを与えた。

「孫の顔を見たいのに、としきりに呟いていたのです。そこでピンときましたよ。副社長は妊娠したのではないかと。」



続き


それからしばらくは、その社員からの連絡は無く、まだ辞めずに頑張っている様だった。


Mさんは、遠く離れた自宅にいる間は、常に会社の事が気になり、いつ彼女が嫌がらせをしてくるかわからないという不安な気持ちだったという。


ご主人は、きちんと定期的に帰宅し、夫婦で買い物に出かけたり、何事も無い風にしている。
愛人の存在のせいだろうが、DVは治まっていた。そういう点では、夫婦関係は良くなっていた。

Mさんの心の中は、ご主人が家庭を壊さず、きちんとお金を送ってくれて老後も安心して過ごせればそれでいいと割り切っていた。

だが、その為には会社がきちんと機能する事が大事。
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愛人の目的がはっきりとわからないまま、ご主人を見守りながら祈るしかなかった。その為には、電話をくれた社員の存在は大きかった。


ある日、その社員から電話がきた。

何か事件があったのかと、Mさんは嫌な予感がした。


電話の内容はこうだった。

「最近、社長と副社長(愛人)の様子がおかしいのです。何かあったようです。2人で出張に行った後、暗い顔をして何も話さないのです。普段2人とも、社内では怒鳴ったり、大きい声で指示をだしたりするのですが、全くそんな元気が無くて。わかりやすいんですよ。2人ともすぐ態度にでますから。

喧嘩とか、別れ話でもしたのかなと、様子を見ていました。すると昨日、副社長のお母さんが突然会社を訪ねてきて、皆びっくりしました。お母さんの様子が深刻で。」

何で、愛人の母親が急に会社に来るのか、娘の職場を見学しにきて社長に挨拶に来たのかもしれないが、深刻な様子だったとか、二人の様子がおかしかったとか、聞きながらMさんの不安は募っていく。




続き


「奥さんは何もかもご存じなのでしょう?聞きましたよ。前に辞めた社員がお宅まで話に行った事を。その事は私しか知りません。副社長は、次は私が邪魔になったのです。

自分が入社する前からいた人間は辞めさせて、自分の気に入った人だけ揃えようとしているのです。ここまで会社を支えてきた社員の気持ちなんか全く考えていませんよ。

社長にも相談しましたが、口ではわかったと言われるだけで、結局彼女の言いなりなのです。社長は、奥さんが何もご存知ないと安心しています。このままでは、あの女性に会社を好きにされてしまいます。」

と必死で訴えていた。


そう言われても、どうしようもないMさん。何も知らないふりをしながら会社の人事に口は出せないし、彼女の事を追い出そうとしても、うまくやらないと逆効果になりかねない。


「これから、何かあれば奥さんに情報を入れます。協力お願いします。」

とお願いされて電話はきれた。

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困り果てたMさん。彼女に何も言えないご主人が情けなく憎たらしかった。


へたすると会社だけでなく、家庭にまでどんな嫌がらせをするかわからない女性だと怖くなった。







続き

Mさんは、自分も会社の役員になろうとした。愛人の好きにさせない様に、自分も権利を持つことにした。

ご主人にはうまく話した。あなたの仕事を少しでも助けたい。会社の為に力になりたいと。

そういう言葉に弱い人だと知っていた。


了解をしてくれたのだが、聞くとすでに半分の権利を彼女に取られていた。しかし、Mさん夫婦の持ち分を増やし、何とか手はうてた。これからご主人が彼女の言いなりにならなければ大丈夫だ。


彼女が、自分の気にいる従業員には態度が良く、気にいらない人には無視したりパワハラをするという苦情が入ってきた。人が次々にやめていっては採用、の繰り返しで、おまけに似た様な性格の社長だ。

会社の評判はどんどん悪くなっていった。
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だが、野心たっぷりの愛人副社長は、その外見と愛想良さで営業には成功していた。

新規の顧客を開拓し、本性を知らない相手の男性は、彼女の持つ魅力と思わせぶりに何人も勘違いをして契約を結んでいた。

彼女のそのやり方を社長はうまく利用していた。だからなおさら、彼女を離せなかったのだ。彼女無しでは回らなくなるほど社内は仕切られていた。

会社のイメージガールとして、営業の花としては最適だった。
そういう意味では、能力がある人なのだ。

彼女が自分の言いなりになる従業員だけを残している為、Mさんが会社に行くと、以前の歓迎する雰囲気は消えて、拒否するような冷たい雰囲気に変わっていった。

うわべでは、笑顔で良い人に見えている副社長の彼女は、社内にこう言っていたらしい。

「たまに手伝いにきているあのおばはん、役立たずだわ。うちは老人なんか募集してないのに。社長の奥さん風ふかして邪魔でしかないわ。皆もそう思うわよね」と。


Mさんは、次第に会社に顔をだす機会を減らしていった。


それを気にかけてくれた社員が1人いた。ベテランの男性社員だった。

この人も本音は副社長を嫌っていたが、表面的にうまく合わせていた。

Mさんに、「副社長の事は気にしてはだめですよ。会社にどんどんまた来てください。」と電話をくれたのだ。そして

「最近、副社長は僕が目障りになっているらしく、辞めるよう嫌がらせばかりしてきてます。社長に相談してもうやむやなんですよ。社長は副社長に裏でコントロールされているんです。奥さん、だから社長の目を覚まさせる為に、頑張ってください。会社を救えるのは奥さんしかいないんです。」

とお願いされたようだ。



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Mさんは、ご主人の会社が忙しい時期になると、仕事の手伝いもする様になった。

子どもさん達も手が離れ、両親もまだお元気だったので、年に数回は仕事を手伝う為に出向いた。


面白くないのは愛人の彼女だったはずだが、Mさんの前では愛想よくしていた様だ。


休日に夫婦で出かけた時の事。


繁華街を歩き、買い物をしていたら、何か気配を感じた。振り返ると彼女の姿が…。ずっとついてきていた様だった。彼女の執念を感じ、これは気をつけないとと恐くなったそう。

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その後も、ご主人が自宅に帰ってくるのにあわせて、愛人の彼女は近くに出張の予定を入れていた。
仕事のふりをして、ご主人をこっそり呼び出し、近くで会おうとした。

ご主人が彼女に注意しても、聞き入れられず、奥さんにばらされるのを恐れてか、結局言いなりになっていた様だ。
奥さんは、ご主人が家にいなくても構わないし、愛情も無いのだが、愛人に家庭の平和までかき回されるのは嫌だった。


社長と副社長(彼女)は、出張に一緒に行く事が多くなった。

ただでさえ噂の2人が一緒に出張すれば、いくら関係を誤魔化しても無理だろう。

彼女は2人の関係を公にしたがり、社長は必死で誤魔化しているのも見え見えだった。


彼女は妻の座も狙っている様で、浮気がばれて夫婦がもめた方が良かったのだ。その為に、二人の関係がばれる様に企んでいたらしい。
彼女の年齢は、社長よりも15歳、Mさんよりも13歳も若かった。
モデルの様なスタイルで、目立つ存在だった。


愛人がいてもご主人がMさんを避けたり、来る事を拒んだりせず、気を使ってくれるので、家庭を壊す気はないと確信したという。

どこかで、ご主人も愛人を信用できなかったのかもしれない。


Mさんは、ずっととぼけ続けた。
会社を彼女のものにされる事だけは避けたかった。

そこで、Mさんはご主人にある提案をした。

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