母の遺影を部屋に飾っている。
1人じゃ寂しいかなと思って、若い頃の父と並んだ写真も一緒に。
母は、米寿の時に私に遺影用の写真を撮っていてほしいと言った。
趣味でカメラを持ってる上の子に頼んで、撮影とちょっとした修正はして貰った。
抗がん剤で脱毛していたので、ウイッグを買ってつけてあげて
母がお気に入りの着物を着て、庭で撮影した。
その少し前に弟に撮影を頼んだらしいのだが、最悪だったらしい。
遺影にするつもりで、お気に入りのスーツを着た母は
そこに立ってと言われて立ったら、いつのまにか「ハイ終わり」と言われた。
え?いつ撮ったの?
笑顔もポーズもなにもしないまま、
ただぼーっとした顔でシャッターチャンスを待っていたら、
弟は何も言わずに勝手に撮っていた。
もう一度撮り直してと言っても「何回撮ってもかわらないよ」と言って無視した弟。
出来上がった写真は酷く、しかめた顔で無造作に立った自分の姿。
こんなの遺影にしたくないと内心不満だった母。
何の為にスーツを着たのか、意味が無かったと言っていた。
これが私だったら、はっきり文句を言われただろう。
が、息子には何も言えない母なのだった。
で、愚痴をいつもの如く私にぶつけてきた。
結果、私がやり直すことになった訳だ。
まるでメイクさんみたいにお化粧やヘアメイクなどお世話?して
綺麗に撮れるように、何枚も笑顔でポーズをとらせて撮影した。
おかげで私や孫との良き記念写真もとれたから良かったけど。

遺影に使ったその写真は、葬儀屋さんから褒められた。
弟の写真とはまるで別人の様に綺麗でにこやかに写っていた。
死んだらわからないんだから、どうでもいいじゃん、
老人なんだから綺麗にする意味ないとか、本人に言う弟夫婦だった。
父の遺影もいざと言う時に慌てない様に、準備している。
本人も以前遺影用に写真を撮ってと、私に頼んできたことがあった。
その時撮影はしたのだが、すでに老け込んでいて父らしさが消えていた。
もっと前に家族で撮影した記念写真があり、今よりも若いけど
父らしさが出ている良い写真なので、それを使おうと準備している。
そして、自分もいつ何かあるかわからないので、
今の時点での遺影用写真を自撮りしている。
子ども達が気が付くように、パソコンと、自分のアルバムに入れてある。
私の時は、葬儀はしなくていい、お墓も作らなくていい、海に散骨で。
でも、写真はしばらくは飾るだろう。
死んだら本人はわからなるから、写真はどうでもいいと言うものではない。
わからなくなるから、用意しておきたいわけで。
家族を慌てさせない為にも。
そして、遺影には、生前その人と家族の関係がはっきり表れると思うのだ。