弟は、一人娘が大学卒業後、普通に就職して自立し、
30過ぎた今頃は孫を産んでいて、
夫婦で孫と遊ぶのが楽しみな老後を過ごす、
そんな平凡な幸せを過ごせるものと信じていた様だ。

残念なことに、現実はそうはいかなかった。
これまでの生き方による弟夫婦の自己責任も無いとは言えないが。
特に子育てに関しては問題ありで、今でも本人はわかっていない。

夫婦に起きた不幸は残念で悲しいけど、残る姪の存在が実は不安な要素で。
これは私よりも近所の親族の方の方が心配している気がする。

30過ぎた本人は自分はいつまでも可愛い少女のつもり。
弟夫婦が子離れせず、甘やかしてきた。
子どもの為にと思えばそうはならないはずだが、
結局、弟夫婦は自分たちの気持ちを子の精神の成長より優先してきたようだ。

姪は、自分の父親の介護や葬儀を自分がしなきゃいけないとは思わず、
誰かがしてくれるだろう、自分はやってもらって当たり前のお嬢様だからと。
それ位、非常識な大人になっている気がする。
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一歩間違えば、弟が父より先に介護状態か命を失っていてもおかしくなかった。
跡継ぎにならないのに男尊女卑の父は息子さえいればよくて、
今では娘である私の存在を忘れている。
何も報われていないのに。

想像したくないけど、今後もし最悪にもそうなったら?
弟に後遺症が残っていたら?
私にあれもこれもとのしかかってくる。
姪がしっかりしてくれたらいいのだが。
いや、いざとなったらしっかりしてもらう。

とにかく、父より先に弟が寝込む事だけは避けてほしいと願う。

帰る日の前日、夕食後に突然弟が言いだした。
「もし僕が突然あの世に行った時は…」
流石に今回の事で色々考えたのだろう。
私に頼みごとをしてきた。

「自分に何かあったら、家は空き家になるだろうから、
娘が住むか、売る時まで、自分の家に定期的に泊まってほしい」と言う。

良い意味に解釈すれば、ホテル代わりに使ってという配慮かもしれない。
悪く解釈すれば「いずれ娘が帰ってきて暮らすか、処分するまでの間、
定期的に家を掃除したり管理してくれ」という事。

娘が帰省した時に気持ちよく過ごせるように、
たまに掃除をしにいってくれ、
やがて娘が家を売る時の為に綺麗に管理しといてくれと
言われている気がした。 

そして弟の頼みで、一番抵抗を感じたのは娘を頼むと言われた事だ。     続く