乾燥する季節。顔の皺が益々気になる。 
手なんて何度クリームをつけてもかさかさで追いつかない。
そんな中、先日近所で火事があった。

家の前の道路を消防車が何台もサイレンを鳴らして走っていく。
すぐ近くの家から真っ黒の煙がもくもくと上がっている。

怖い。怪我人がいなかったのは不幸中の幸いだったが、
火事は何もかも奪うし、近所にも大きな迷惑をかける。
そして住民の方の安息の場を失ってしまった事のショックは大変なものだろう。

自分の家からは絶対火を出したくないのは当然だが、
もし隣が火事になったらと思うだけでも怖くなる。

その日の夜に弟からまた電話がきた。
父と約束したはずが、外出先で父にすっぽかされたと言う。
物忘れがひどくなっているという話だった。

父はそういう年齢だし、元気に一人暮らしをしていることが奇跡みたいなもの。
本人は今の生活が一番いいのだろうけど
もう施設で暮らす方が良いのではないかと最近思っていた。

弟は何も言えないみたいだし、次に会った時に私から父に話してみようかと思う。
火事を目の前にして、尚更その方が良いと思った。
母が亡くなる前に、父はサービス付き高齢者住宅に入りたいと言っていた。
私と弟が探して、いつでも入居できそうだったのに、
急に気が変った父は、私の手助けを拒否し、
この家は自分だけのものだ、邪魔するなと閉鎖的になった。
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年齢的な脳の変化でそうなったのだろうけど
母が亡くなるまでに私が綺麗に掃除していた実家を、父がゴミ屋敷状態に変えてしまった。
ゴミは散乱していないが、物が増えて座る場所、寝る部屋も無くなった。
窓を閉め切り、風を入れないのでどんどん不衛生になる。

弟が定期的に掃除をすればよいけれど
元々自分の家も掃除しない夫婦だったから
実家を片付ける気があればこうなっていないだろう。
父は弟のやることには何も言わない。男尊女卑の影響が今もある。

仮に強引に私が実家に泊まって家事をしようとしても
掃除で一日終わってしまい、何もできないままばててしまいそう。
しかも、そうすると帰ったあとで、父があれが無い、これが無い、
勝手に捨てた、どこかに動かした、と怒り出すと思う。
何もしていなくても、自分の物忘れを被害妄想で済ませてしまう。

そんなことを思っていたら、帰る気が失せて来る。

ただ、詐欺や、火事などのトラブルは心配だ。
父にはきちんとした環境で生活してほしい。
弟に話したら、自分からは言う気はなさそう。
相変わらずだ。近くにいてくれるだけで助かるけれど。

今は何事も起きない様に祈るしかない。