私達にとっては、当然実家は一つだけ。
が、父は自分の実家(へき地で遠く交通も不便で朽ちた家)が全て。
まるで私たちの実家もそこだと思い込んでいるよう。

今住む家は仮の家だからどうでもいいと。
私達にとって育った思い出の実家であるとは思ってもいない。
母が亡くなる前に「一番幸せだったのはこの家で子育てしていた頃。
この家での思い出が全て」と言った。
父がその気持ちを理解せず、
母をも父の朽ちた実家に縛り付けていた事を嘆いていた。

負の遺産をどんどん残している父。
私の子どもたちにまでその僻地のボロ家を永久に管理するように言ってくる。
父には、自分が頑張って家を建て、夫婦で力を合わせて子どもを育てあげたという
思いは無いようなのだ。
父が思い出すのは、結婚するまでの自分の親兄弟との暮らしばかり。

妻子との思い出が頭に無いなんて、私達は父にとって何なのと言いたくなる。
母が悲しそうにしていたはずだ。
夫もそうだから。自分の妻子は家族ではなく、親兄弟だけが家族だった。
(父はやるべきことはきちんとした父親だから、そこは違うけど。)

不便で遠い何も無いボロ家にいくだけで旅費や宿泊代もかかる。
管理する価値も理由もないのに、父の執着は異常なのだ。 
母が「私の人生はあの家に壊された」と言っていた。
母は父が自分より先に逝ってほしいと願っていた。
そういう負の遺産を処分して、子や孫に迷惑をかけないようにしたいと言っていた。

色んな計画が狂った。長生きは良いことだけど、私達の方が先に倒れそうだ。
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長期実家に帰り、大掃除をしようかといつも思う。
でも、一時的に改善されても、弟がまた見て見ぬふりを続ければ
すぐにまた元通りになるどころか、より悪くなる可能性がある。

父が私の家事に慣れてしまい、私が帰った後に自分で何も出来なくなる可能性がある。
施設に入ってくれればよいけれど、父は抵抗するし弟は父の言いなり。
遠くに住む私には何もできない。

とりあえずは、実家に寄った時に、くつろげる場所を作りたい。
遠くに住む人間の限界だ。

色々考えるうちに面倒臭くなってくる。

父が入院するとか、施設に入る以外には解決できない。
長生きできても、孤独で子どもにこんな風に思われる年寄りにはなりたくない。
父自身も予想が狂い、こんな1人暮らしになるとは思っていなかったろう。
ある意味自業自得なのだ。これも。

今になって、女性の家事の大変さが分かったと言うけどもう遅い。

自分がもし長生きしてしまったら、子や孫がいつでも遊びに行きたいと思う様な、
優しい雰囲気で清潔な家を維持する事にしなくてはと学んだ。