実家に1人暮らしで、年金暮らしの女性がいる。
口癖が、年金生活だから貧乏で何もできないと言う愚痴。
家賃もいらないし借金がある訳でもなく、
貯金もあり、株を買ったりしっかりマネ活していると言う。
でも、年金が少なくて大変だ、節約するのが辛いと言う。

よく聞くと、年金は月18万ほどあるそう。
え?夫婦合わせてそれ位で生活しているお宅は沢山ある。
自営のお宅ならもっと少ない。

家賃がいらず一人暮らし、その額で年金が足りない?
と不思議で、その人の話す内容を良く聞いてみたら、
価値観のレベル、生活レベルの差をつくづく感じた。

私みたいに子どもの時から裕福ではない家庭で
我慢、辛抱と言われて男尊女卑で育ち、
結婚も悲惨だった人間と、
裕福な実家で1人っ子、良い環境で大事に育てられ、
大企業に就職し、実家住まい、給料全部お小遣いで独身貴族だった人とは違って当然。

買い物にしても、良質な物、ブランドにこだわってはいられない。
それが当たり前で生きて来た人から見れば、安物好きの私は
貧乏人臭い、信じられないと馬鹿にされることだろう。
こういう人とは表面的な付き合いしかできない。
向こうも嫌だろう。
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自分も、何でも安ければいいってものじゃないとわかっているし、
本当に良い物でなければいけない時は、お金を出す。
でも、日常では我慢、節約が当たり前になっていて、
むしろそれがどこか楽しみにすらなっている。
高い物、上質な物をたまたま安く買えた時や、
安いお菓子を1個、自分の為に買って食べた時のささやかな喜び。

彼女は、老後は毎月海外旅行に行き、料亭に食事に行き、
お芝居やコンサートなどに出かける贅沢な暮らしをする予定だったそうだ。
それが自分にとって当たり前の老後だと。
それまでの生活基準を急に下げる事はなかなか難しいのは理解できる。

年金が少なくて生きていけない、どうしようと言う。
定年後、また働くにしても、若い時みたいにスーツを着て、
綺麗なオフィスで役職ついていないと嫌だと言う。

歳をとってからの再就職はなかなか無い。
スーパーのレジを勧められると
「この私が、そんな仕事をするなんてありえない!馬鹿にしないで」
と怒り出す。

若い時のキラキラしていた頃の自分を忘れられない様だ。
それは誰でも同じ。辛いが老いを認めざるを得ない。

彼女は、いつも自信にあふれており、社交的で活発で魅力的。
でも、痛々しくなる時もある。
もっと力を抜いて、今の自分の現実を受け入れ、常に人と比較するのもやめたら
もっと楽しいだろうなあと思う。偉そうに言える立場じゃないけど。
恵まれているのに勿体ないなあと思う。

私だったら、それだけ年金貰えるならルンルンだ。
どれだけ安心してゆったりと過ごせることだろう。
人間の価値観、欲望と言うのは上を見ればきりがない。

貧乏くさいと馬鹿にされても、今の自分は変らないし、
これが現実。妬みに聞こえるかもしれない。
夫のいない自由な生活で、子ども達とも定期的に会えて最高だと思う。

確かにお金はあった方が、解決できる事もあるし、いいに決まっている。
私だって結婚する時は、老後は夫婦仲良く旅行に行ったり、
貯金も貯めてゆったり過ごすのが夢だった。
幸せな結婚をした友人を見ていると羨ましいし、自分が馬鹿だったと思う。

でも、欲張ったらキリが無い。
まずは、健康でいることを何より大事にしたい。