弟に実家を訪ねる時間を伝え、
実家で待ち合わせ的な感じになった。
父は突然現れた私を見て「誰?」と言う顔。
ここ数年、いつもそう。

「○○よ」と大きな声で言うと、段々わかってきて
その後は、まともな対応になる。

これが、名前を言っても誰かわからなかったり、
ぼーっとしていると、もう1人暮らしは無理で
即、手を打たないといけない。
今は顔色もよく、元気そうだ。

父なりに、迷惑をかけずに一人で頑張ろうと努力しているのだろう。
それでも、電気製品の扱いができなくなったと愚痴っていた。
かといって、何かアドバイスをしようとすると、不機嫌になる。

弟に、父の食事は大丈夫か聞くと、
大丈夫と軽い返事。
顔色が良いので大丈夫なのだろうと思うしかない。

家の中を見て回ると、掃除をしようとしているのは伝わる。
が、家の中は物が置いたまま、物置状態で、寝る場所も無い。

持って帰りたかった物だけを探し、カバンに入れた。

予想通り、父はそこが娘の実家であるという意識が無くなったのかもしれない。
そわそわし始め、何か接待をしないとと、台所をうろうろする。
弟は身内、娘は他人の意識だ。
だから私が以前の様に実家に泊まり、掃除したり、台所を使うのも嫌なのだろう。

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飲物を探して、出してくれたが、
その父の様子が可哀想になってきた。
「そろそろ行くね、また帰ってくるから 」
と声をかけ、弟と一緒に実家を出た。

結局、30分位しかいられなかった。
今までではありえなかったことだ。

これが母だったら、
好きにして、自由にしてて、と言って、
家事も何もかも、私に甘えただろう。
いつでも帰省してくる様にと
部屋も綺麗に掃除していただろう。

父ならもっと娘に甘えるのかと思っていたが真逆だった。

申し訳ないから、迷惑かけたくないからというよりも、
やはり、差別意識もあるのかもしれない。
世話になるのは息子、後継ぎは息子、息子がいるからいい。
(嫁には失望してても言わない)
娘は他人だから、でしゃばるな、
女にはこの家はやらない、自分の家だと思ってほしくない、
などと思っている気もする。

だから、短時間しか会えないけど
今後も、父がそれが良いならそうしようと思う。

実家を出た後、弟の家へ行った。
外見は立派な家なのに、中はいつもは酷い状態の家。
急いで掃除した様だ。

お客様用の布団もだしてあったことだし、泊まる事にした。

母がいなくなってから、
帰省の仕方が段々変になってきて
寂しいような悲しいような…。

何だかんだと言ってるけど、
弟がこうやって待っていてくれるからほっとする。
父しかいなかったら、
故郷に帰ってもどこか空しかっただろう。

居てくれるだけで、弟に感謝しなくてはいけないな。