一昨日の朝、子どもが声をかけてきた。
「夏休みを取ったから、お墓参りに行こうよ。旅費は気にしなくていいから」

 私が「コロナがまた凄い事になってるし~」と躊躇っていると
「山の中お墓にいくだけなら、誰もいないし、大丈夫でしょう」
と説得してきた。

49日も初盆も、今みたいにコロナが増えてきて行けなかった。
年末年始には、感染数が減っていたので、
父が1人で正月を迎えると聞き、急遽帰省した。
あの日は、偶然父もお墓参りに来ていて、
一緒に実家に帰った。
その事、父は覚えていないだろう。
弟夫婦が冷たいということも、
今の父の頭にはないと思う。

今回、行く前に、父はお墓参りに行く予定はあるのか、と弟に聞いたら
何そんな話は無いから、月末だろうと返事が来た。

なら、本当に誰にも会わずにすむし、お墓参りだけして帰ろうと
ぎりぎりで決心し、あれこれ調整して少しの荷物で出発した。

私も、ストレスが溜まりがちで、
どこかに出かけたかった。良い機会だった。
途中、人混みを避けながら、
緊張しながら移動した。

近くの市街地のホテルに1泊して帰ることに。

ホテルにチェックインしてから
墓の近くまでバスで向かった。
夏は夕方でも明るいので助かる。

母のお骨が無ければ、ここまでして通わない。
母の為に行く墓参り。
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父の実家の敷地にも入ったが、
誰も住んでおらず、過疎地なので
周囲も荒れ果てている。

ただ、自然の香りが強く、風は心地よく、小さな池には、珍しい生き物もいた。
久し振りに元気なツクツクボウシを聞いた。

子どもの頃、祖父と祖母に会いに、
毎年この土地に来ていた。
夏休みの思い出そのもの。

心が病んだ時、ここにきて過ごせば
人間らしさを取り戻せそうな場所。

周囲が荒れておらず、家の補修費がかからず、
もっと近ければ、間違いなく私が別荘的に使っていただろうな。
父も定期的に掃除に来ているが、
手入れが楽になって喜んだだろう。

が、母にとっては辛く嫌な思いでしかない場所で、
早くこの場所と縁を切りたいと言っていた。

そのうち、お骨は、ここから両親の分だけ、弟の家の近くに移すだろう。
それまで、母には我慢してもらうことになる。
で、また私の勝手な妄想なのだが、
出発を迷っていた時、ちょっとした合図があった。