続き

夫からの手紙には、御詫びの言葉がずらりと並んでいた。
”あれは、本当の自分じゃない、色々うまくいっていない自分に比べて
君が充実した生活をしているのが羨ましかった。
つい、子どもっぽい意地悪をしたくなってしまった。
自分が恥ずかしい。
本心は、全く違うし、これからも仲良くしてほしいので許してほしい。”
みたいな内容だった。

今となれば「こんな素直な俺、カッコイイ」と自己陶酔しているような文だった。
当時はあまり夫の事を知らず、私も若くて未熟だった。
世間知らずで、人格障害という言葉も知らなかった私は、
素直にその内容を信じてしまった。
素直に自己分析をし、すぐに謝れる人なんだと。

今の私なら、「これは、NPDの特徴で、ターゲットが離れようとすると、
急に優しくなったり、泣いて見せたりして、引き留めに入る作戦だ。
騙されたら、また同じことの繰り返しになる。」
と、用心して騙されないぞとなる。

そう思っても、演技に誤魔化されてしまい
結果共依存になっていく人が多いと思う。
相手を信じた方が楽、という現実もある。
人を疑い、抵抗するのはかなり疲れるのだ。
流されて当然だと思う。

手紙が到着して数日後から
夫は積極的に連絡をしてきた。
きっと、あの時私をターゲットにしようと決めたのだろう。

不思議なのは、何故強い抵抗にあったのに私をターゲットにしたのか、ということ。
たまたま、あの時、別のターゲットを失っていて
追い詰められていたのかも。
落ち込んでいたという事は、そうなのだろう。
ちょうどそこへ、現実逃避先となる私が現れたわけだ。

仕事が好きそうに見えた私をうまくコントロールして働かせ、
一生搾取して、楽ができそうだと勝手に想像していたことも考えられる。
まずは、手紙で様子を見て、
うまくいけば捕まえよう、という作戦だったのだろう。
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まんまと騙された私は、ちらほらと現れるNPDの本質に違和感は感じたが、
その都度、抵抗したり、離れるしぐさをすると
必死で言い訳していた。
酷い時は、嘘泣きもしていた。それがまさしくNPD.

当時、人は変われると思っていた。
結婚したら、子どもがうまれたら、とその都度期待した。

結婚したら、子どもができたら~人格がまともな人なら
責任感が出てきて、失敗に学びながら成長していく。
仕事も同じ。経験や失敗が人を成長させていく。

人格障害者は、逆に悪化する。
結婚すれば「もう逃げられないぞ、こっちのものだ」
と、本性を出す。
子どもが生まれると「子育てで動けないから益々逃げられないぞ、いう事をきけ」
となる。
口で宣言しないで、そうなるようにずる賢く、追い詰めていく。

抵抗しようとすると
「ああ、お前もそんな人間だったか。残念だ。僕がこんなに苦労しているのに」
みたいに、罪悪感を持たせたり、
「そんな事を言うと、~なるけど、それでもいいの?」
と脅して、不安にさせていく。
ガスライティングだ。