母が亡くなってから、
やたらと懐メロを聴きたくなってきて、
古い洋楽やら歌謡曲やら、演歌まで聴いている。

当時は、ビートルズ以外、たいした関心も無かった曲が、
ラジオやテレビで良く流れていたからか、結構沢山記憶に残っている。 

誰でもそうだけど、
音楽は、当時の自分の思い出と共にあり、
その時の、自分、家族、友人、色んな思い出、臭いまでが甦ってくる。

今聴きたい懐メロの時期は、高校生の頃。

当時の自分の家庭と、今の我が家の状況を比べてしまう。
少なくとも、夫より父は責任感が強く、贅沢もせず、家族を守る父親だった。
男尊女卑はあったが、父としてやるべきことはやってくれた。

貧しくても、父が働いている限り、大丈夫だという安心感があった。
子どもを自立させるまでが、自分の義務、役目なんだと、
父には重く辛い責任感がのしかかっていただろうが、
最後まで、踏ん張ってくれた。

子どもに一番大事な、安心感を夫は与えず、
不安定な家庭を作ってしまった事を、私は子どもに対して申し訳なく思う。
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自分が、高校時代に青春を謳歌できたのは
両親が与えてくれた安心感のお陰だったのだと気が付く。

母が作ったお弁当を、ほとんど食べ残して帰っていた事も
自分が我が子にお弁当を作る立場になって、
母の気持ちがわかるという鈍さ。

母が亡くなったら
子どもの頃の思い出まで一緒に消え去る様な気がした。
母に対する嫌な思い出も、何もかも。

懐メロを聴くと、消えかかる思い出が甦ってくる。

過去を懐かしむ今の自分は、
もう先が無い人の様だ。

ここまで、生きて来れただけで満足しなきゃなとは思うが、
夫よりも先に逝きたくないという目的ができたので
もう少し、生きていたいと思う。