1周忌を境に、母が遠くに行ってしまった感覚がある。
全て、自分の脳内世界の感覚に過ぎないとわかっている。

自分で作り上げた理想の母像で、
いつも傍にいてほしいという願望に他ならない。
それで、自分が救われるのならいいじゃないか。
夫の様に、変なカルトにのめり込むよりも。人に迷惑はかけない。

昨年は、母がいなくなったショックと父からの暴言で
実家なんかどうでもいい、父とはこのまま縁をきってもいいと
思った事もあったが、
時間が経ち、それももうどこかに消えた。

次第に父の事が気になってくる。

自分の知っている母の人生を思い出す度、
そこには必ず父がいる。
幼児期には沢山遊んでくれた父。
幼い頃はあんなに優しくて、子煩悩だったのに
急に厳しく、冷たくなった様な印象がある。

本人にすれば、子どもの事を思っての事だったと言うのだろうが、
子の成長に合わせた愛情も不器用で表現できず、
父としての威厳を保たねばと思っていた事だろう。

古い人間は、男尊女卑もあり、あんなものだ。

母はその犠牲になったと最後まで愚痴っていた。
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それでも父は、夫よりも何百倍もまともだと思う。
自分が家族を守り、養い、子をしっかり育てるのだという責任感があった。

「何百回、仕事を辞めたくなったことか。仕事とは辛いものだ。
でも、家族の為に踏ん張って定年まで勤めあげた。」
と、叔父に話していたのを聞いた事がある。

ほとんどのお宅のお父さんはそうなのだけど、
父が基準になっていて、夫みたいな人格障害者が存在することを知らなかった。
ましてや、夫の口からは、責任感あり、家族愛あり、仕事で頑張ると
綺麗ごとばかり聞かされ、まさかそんな嘘を平然とつく人間が
存在することも知らなかった。

父が無責任で、ろくでもない人だったら、
逆にもっと自分の男性を見る目が厳しくなっていて、
結婚に失敗する事は無かったのだろうか。
こればかりは、わからないなあ。