弟から、多分今夜には父の予定がはっきりするから
分かり次第連絡するとのこと。
明日の昼に出発出来る様、小さいカバンに着替えだけ詰めて準備した。
コロナが落ち着いている今、行かないと
6波がきたら、行けなくなる。
準備をしていると、何故か気持ちが落ち込む。
何故?やっと実家に帰れるのに。
父の歓迎が無く、留守中に行くことが一番のストレスだけど
それは別として、落ち込む理由がわかった。
母がいなくなって初めての帰省だからだ。
最後に帰省したのは、母の転院の時。
病院の外に出た時なら会えるかもと、母に会う為に帰った。
そのまま、ひたすら面会許可がおりるまで我慢し、
毎日電話で話し、看取ることもできた。
あの時は、まだ母が体力、気力もあって
電話でも普通に話せていたから
今から帰るよ!と言って、母もコロナを心配しながら
会えるのを楽しみにしていたし、
父の世話をする人がやっと来てくれたと
私の帰省を本当に、助かった、安心したと言っていた。
だから、これまでは、帰ると母が待っているというのが
当たり前だった。
今回は、誰も待っていない。
仏壇の中の母だけ。
弟も待っていてくれる感じではある。
兄弟もいなかったら、もっと暗い気持ちになったかも。
故郷に弟がいるというだけで、救われる。
駅まで迎えに行くよと言ってくれる。
「お帰り」と言ってくれる人の存在が、こんなに温かいものだとは
失って初めてわかるものなんだなあ。

葬儀の後に自宅に帰った時も、
凄い喪失感があった。
それまでは、毎回「無事に帰った?大丈夫だった?また来てね」と
母が電話をくれていた。
初めてそれが無かった。
あの日は、母を看取った直後で、まだ心が動揺していたから。
その代わり、弟が連絡をくれた。
それで、気持ちが落ち着いた。
今回は、母がいなくなって初めての帰省だから
こんなだけど、一度克服?すれば次からは慣れてきて
喪失感も薄れるだろう。
長年の習慣が突然変わった時は、
慣れるまでは戸惑うものだ。
親が元気で長生きだったからこその
贅沢な感情だと思う。
理想的な見送りができたと自分は満足している。
コロナのせいで、面会がなかなかできないまま
やってあげたい事が出来ないままだった事が
ずっと心残りでいる。
父より先になってしまった母の悔しさも
自分に置き換えてしまい、いつまでも残る。
上手くいけば、明日帰省し、
こっそり、わからない程度に整理し、
ついでに心も整理することが出来ればいいなと思う。