父が母とのなれそめを長々と話した時を思い出す。
嬉しそうに、にやけて?話す。
弟には話さない。私だけに。
母の醒めた話し方とは正反対。
弱い立場に置かれてしまい、
縛りつけられてしまった方は当然後悔する。
亭主関白で、こういう父親は昔は多かったと思う。
母とやっと結婚できた父は、変わったのだろう。
母より強く、亭主関白に。
結婚する前までは、どんなにいい格好していたことだろうか。
父は、母に一目ぼれをした。
詳しくはわからないが、結婚前に、母は一時、父から離れたという。
県外に引っ越したのだ。
叔母さんの自営業を手伝いに行ったと言うが
もしかしたら、最後の迷いがあって、冷静になる為?
で、父が言うには
「仕事でたまたま母が引っ越した先に行った時に
母に会いに行ったんだよ。
結婚する時は、迎えに行って、一緒に帰って来た。」
と嬉しそうに話していた。
遠くに行けば、父があきらめると思ったら
何度も会いに来て、プロポーズをしてきたから
母も熱心さに心を動かしたのかな。
でも、その後の父の言い方にむっとした。
「結婚をうちの親が反対したんだよ。あんな家の子にうちの嫁がつとまるかと。」
「でも、姉が賛成してくれて、親を説得してくれたから結婚できたんだ。」
あんな家の子?母の実家の方が父より名家だったし?。
家なんて、どうでもいいこと。
昔はつまらない事で反対する世の中だったわけだ。

私はそんな事を考えて居たが
父は何のこだわりもなく、にこやかに話していた。
とにかく、父は母との結婚話を嬉しそうに話す。
全く後悔なんかしていない。
父は、夫に比べればずっと良い。
父は、やるべき事はやっており、責任感もあった。
「仕事を何度やめようと思ったか、でも家族の為に踏ん張った。」
と定年退職の時、しみじみと話していた。
母は「あそこにまた住みたい、私はあの街が好きなの。」
と良く口にしていた。
父が結婚しようと迎えに行った、母が引っ越した県外の土地。
偶然にも、今私はそこに住んでいる。
色々引越して、ここに落ち着いた。
本当に偶然に。
これまで何度かうちに母が来ていたし、
亡くなる前の、最後の旅行は我が家だった。
「最後に○○にいけて、本当に良かった。有難うね」
と何度も言っていた母。
母は実家ではなく、今も我が家に居る気がしているが、
母が住みたい土地だったのだからこれで良かったのだ。
いろんな事が、後から繋がっていく感じがする。