両親の関係を見ていると
どうみても父は母に対して
「世間知らずの無知なお前と結婚してやったんだ。だから感謝して言いなりになれ」
という態度だった。 

そうじゃなかったのか。

「私には恋人がいたの。その人が転勤で遠くに行ってしまって、その隙に父がアタックしてきたのよ。
恋人がいることは、皆が知っていた。父の親も、職場の人も。」

えーっ。そんな事、初めて聞いた。
どうみても、母は父としか付き合った事が無い、うぶな人?と思っていた。

恋人がいる母に、父は、自分と結婚してくれと熱心に言って来て、
周りもどうなるんだろうとハラハラしていたらしい。

今と違い、戦後また貧しい時代、母も家計を助ける為に働いていたし、
電話も無いし、どこでも自由に行き来出来る様なご時世では無かったから、
恋人と遠く離れるということは、別れを覚悟した時代だったのかもしれない。
まだ若くて、結婚するには早くて、一緒について行くという選択はできなかったのだろう。

そのうち、彼氏が迎えに来るのを待っていたのだと思う。
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父が熱心に母にアタックしてきて戸惑う母に、
母の親(祖母)も、兄弟も、友人も、父と結婚する方があなたの為になると
勧めてきたという。
詳しくは知らないが、恋人よりも、父の方がおそらく結婚するには
世間体や収入面で、良く見えたのだろう。

母親(祖母)から、
「あなたにはもったいない相手。あなたにあの人の奥さんが勤まるか心配な位よ。
それほど良い相手なんだから、断る理由はない。妻として、努力して頑張るのよ。それがあなたの為よ。」
と説得されて、自分に自信の無かった母は、結婚を決めたと言った。
「母親の言いつけを守り、旦那さんの足を引っ張らない様に、我慢して努力してきた。
でも、現実は違った。どうしてこんな奴隷みたいな扱いを受けるの?」
と、結婚前に皆が言っていた話と現実は違っていたと嘆いた母。

「結婚してやった、みたいな態度で、私の人格を否定したりするけど、実は結婚してやったのは私の方よ、父も、義父も父の家族もそれを知っていた。なのに、結婚した途端、態度が変わり、私は虐められ、馬鹿にされてきた」
と悔しそうに話す。

大恋愛だったとしか聞いていなかったので、
まさかそんな事があったなんて、初めて聞いた私は、何も言えず、ただ、母の話を聞いていた。

                    続く