母との別れがきっかけで、
昭和の、日本が元気だった頃?
今とは違って、夢が一杯だった頃の音楽をアレクサで聞くようになった。

母がまだ元気で、前のままの母だったら
今も私は母にイライラして、
酷い子ども時代だったと文句ばかり言っていただろう。

今の私の中の母は、亡くなる前の母だ。

母が病気もせず、まだ元気でいたら
(そうであってほしかったと思う反面)、
あの理想の母では無かった訳で、
逆に、弟を更に甘やかし、お金をこっそり渡し、
愚痴は私に言い、弟夫婦にはいつもご機嫌伺いを続けていた事だろう。

益々、母を嫌いになっていたかもしれないし
弟の親のお金への執着もわからず、
差別を感じていたかも。

そう思うと、最後に理想の母と会えて、
ほんの一瞬でも、心が通じたから良かったのかもしれない。
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話は戻り、
古い音楽を聴くと、当時の両親の若い頃の姿を思い出す。
今の自分より若く、夫婦で子育てを頑張っている姿だ。
あの頃の母は幸せだったのだろうか。

自分の寿命を知った母は、自分の人生を振り返り、
いろんな思い出に、思いを巡らせていたのだろう。
緩和ケア病棟に転院してすぐ、私にその心境を電話で話してくれた。

人生を振り返り、母はまず
「自分の結婚はこれで良かったのだろうか」
という事を考えた様だ。

私は、自分よりずっと母の方が現実的で、
結婚相手を選ぶ目はあったと思っていた。

が、母は「この人と結婚するはずじゃなかったのに」と、
父とは、何かの間違いで結婚した様に言ったのだ。

親族から
「あなたの両親は、大恋愛で反対を押し切って結婚したのよ」
と冷やかされた事があったから、その言葉には驚いた。
その話を聞いたのは、子どもの時だったが、
母が親族に口止めをしたのか、それ以降、誰もその話をしなくなった。

何か秘密めいた、触れてはいけない事があるのかなと
子ども心に気を使い、親に聞く事は無かった。

                続く