いつまでも、人の最期について考えて居る。
おそらく葬儀の直後に、
納得いかない、追い返され方をしたためだと思う。

病気で亡くなる人の顔色や表情、
これまで、少しは見て知っていたので
医師にあと2週間とか、いつ急変するかもわからないと
言われた時、母の様子をみていて
どこか破裂するとかしない限り
病気による余命はまだ先だと抵抗していた。

亡くなる5日前に面会した時も
まだ顔色も顔付きも大丈夫と思った。

でも、亡くなる前の独特の臭いは感じた。
身体は看護師さんがいつも清潔にして下さっていたので
不潔な臭いでは無く、独特のものとしか言えない。

会話はしっかりしていたのだが
色々、錯覚が増えていた。が、本人がそれを自覚して
「おかしいね、何で間違ったのかな」
と認めていたので、せん妄とまではいかず、
脳はしっかりしていたと思う。
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まだ大丈夫だと感じた2日後に、がらっと変化した。
急激に悪化した。
顔色も表情も、身体機能も。

その理由は医師に聞いて納得した。

つくづく、手術をしていたらどうだったかと
色々考える。
苦しませたくなかった。

でも、色々調べると
癌で亡くなる人はほとんどが似た様な経緯をたどる様だ。

今思えば、母も、電話では、だんだん頭が冴えてきて
聡明になっていた時期、
それとは相反して、身体はどんどん終わりに向かっていた。 

母のさまざまな混乱や錯覚は、
強い痛み止めの副作用かもしれないと言って
私は慰めていた。
薬が効いているということだから、仕方ないことだねと
言うしかなかった。

まさか、病気が悪化して旅立つ準備だなんて
言える訳が無いし、自分も思ってもいなかった。

                       続く