昨日の母の電話は声に張りがあった。

十二指腸のリンパ腫なので
腫瘍が大きくなり閉塞してくると
急変もあり得ると言われている、

少しづつ、異常を訴え始めた。
痛くなるのがいつも夜。

2時間ごとにお腹の張りと痛みで
目が覚めるらしい。
トイレに言っても苦しいだけで気分も悪くなるらしい。

毎回、こんな思いをして死を待つだけなら
いっそ今、命を絶ってしまいたい。

そう思うとのこと。


未来があって、いつか回復するという希望があれば
苦しさも耐える気力はでるだろう。

もうどうしようもないことを知っている人間に
これからいつまで続くかわからない苦しみを
息が絶えるまで味わっていくという拷問のようなことを
見ていく家族にとっても辛いものはない。


本人の辛さは、どんなにか。


いっそ、認知症になって
何もわからなくなってくれた方が本人の為じゃないかと
思ってしまう。

 今朝の電話は「昨日は調子良かったけどしんどい。
夜、痛みで眠れないのがきつい。強い睡眠薬を貰って飲んだのに。」
と、声が枯れていた。
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聞いていると、十二指腸の腫瘍の閉塞が悪さしているなと
わかる。
お腹と胃が苦しくて、気分が悪くなると言う。
これから強い痛み止め、薬物を使われることだろう。

だんだん、意識朦朧としてくるのかな。
母が、苦しみから解放されるならそれでいい。

再発してすぐに、腫瘍を切り取った方が良かったんじゃないかと
思ってしまう。

高齢だし、薬でという医師の判断だったが
切りとった方が
食事もできて、こういう苦しさも無かったのではないかと
今更思ってしまう。

手術による危険性もあったのだろうが
母なら乗り越えたかも、なんて
もうどうしようもないのに、悔いてしまう。

「あなたたちと充分話せたからもう悔いはないよ」と言う母。

最近は、私によく電話してくる。
いつまでも、永遠と話したいのだろう。
私がきろうとしても、なかなか話をやめない。
弟とは違って
母とは、何十年間も電話で話してきた。

うんざりして、拒否した時もあったが
まさか、こうなるまで、
電話で話せると思っていなかったし
母の声を聞けることが
こんなに安心するなんて想像もしていなかった。

今日は、ゆっくり話そうと思っていたが
電話をする力もなかったと言っていた。

電話がこなくなると心配になる。

県外の人間の出入り禁止もあと少し。
来週には、面会できるかもしれない。

頑張ってと本人にはとても言えないが
心の中では、もう少し頑張ってと祈っている。

孤独だろう。夜、病室に泊まれるなら、そばにいてあげたい。