母から頻繁に電話がくる。

私が父と一緒にいるからだ。
私のそばに父がいると思うだけで
様子を聞くだけで、安心するのだろう。
相変わらず、父の愚痴を言っているが
それはもっと仲良くしたいという気持ちの表れ。

「ご飯は何食べたの?」
「どんな話をしているの?」
と聞いてくる。本来そこに一緒に自分もいるはずなのにと
本当に悔しそうだ。

昨年コロナもあって、実家に帰っていない1年の間、
実は病気が少しづつ進行していて
母は体調不良を訴えていた。

定期的な検査では異常なしだったせいか
誰も家事を助けない。
父も、弟夫婦も。
母が家では冷たくされていたのが今よくわかる。

台所にいると、母が何とか自分で家事をやろうとして
うまくできなかったんだなというのがわかる。

弟は顔面麻痺になるほど
母との別れがつらいなら
もっと大事にしたらよかったじゃないかと思う。

花に水をかけるだけでもいい。
母が大事にしていた花は全て枯れていた。

先日一時帰宅した時、荒れ果てた庭をみて
母はがっかりしていた。

母が大事にしていたから、せめて水やりだけでも
という気持ちは無かったのか。
帰宅した時、がっかりすると思わなかった?
それとも、もう帰ってこないからいいやとでも?

花が枯れた事より、誰も思いやってくれないという現実を
つきつけられた事が母は失望したのだ。
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私以外、全員何かずれている。

母は、「まさかここまでと思っていなかった。最期まで失望だわ」
と弱い声で話す。

夜眠れなくなったようで
色々悪く考え込んでしまい、
昨日の朝には、弟に電話をかけて
泣きながら色々訴えたらしい。

その後、私に電話で自分の様子を話してきた。

暫く話しているうちに
母の声がしっかりしてきて明るくなってきた。

まるで入院する前の元気な母と話しているようだった。

母にそう言うと
自覚は無く、体調は何も変わってないと言う。

先日まで、別人のように
細い弱い声で、ろれつも回らず
急に衰えを感じた。

その声と同一人物とは思えない。

昨日から、点滴の量が減ったという。
前の病院の量は多すぎると言い、今度の医師が減らした様だ。
そう言う事もあるのだろうか。
負担がかかり過ぎて、
だるさが強かったという事もあったかも。

少しでも、母にとって良いことであれば嬉しい。

夜眠れないのは精神的にかなり負担になる。
誘眠剤を貰っているはずだが
それも減らされたせいなのか。

毎日面会ができるなら
母も気分が晴れるのだろうが
コロナ禍の間、入院している方は皆こんな感じだろう。

食事ができないことが
一番辛いはず。

楽しみが何もない、一日が長く
回復する見込みもなく
何を目標に過ごせばいいのか
先がわからないというのはどんなにか辛い事だろう。