父の手術跡はおそらく順調に回復しているのだろう。
何かあれば弟から報告がくるはず。
父は歳相応の認知症になって
頑固さ、意味のなさそうな事へのこだわり、
過去への執着が強くなり
怒りっぽくなってきた。
まだ生活に支障はないので
病院で治療する様なレベルでは無い。
人の話をきかなくなり
注意したりすればするほど
カッとなってこじれる。
だから母のストレスもたまる。
父の過去への執着には
子として寂しさも感じる。
認知症は過去の記憶は鮮明に残り
新しい記憶は消えてしまう。
そのせいか
父は、自分の子ども時代の事ばかりが
頭にあるようで
誰もいない壊れそうな古い父の実家を手入れし
執着が強くなった。
ぼろぼろでとても住める様な家じゃないのだが
「思い出が詰まっている」とか
「この家を守ることが生きがい」と言い始めた。
結婚してから、自分の事は後回しにして
家族の為に必死で働き
自分の家を建て、
子どもを育てあげたという自分の大事な思い出は
どこへいった?
壊れていくだけの空き家の手入れに使う
エネルギーとお金、何と言ってもその執着心を
自分の建てた、妻子と過ごした今の家に
向けてくれたらどんなに良いかと思うのだ。

父は、まだ今ほど認知がない頃
自分のアルバムを整理していた。
自分の人生をまとめるような感じで。
「自分の親の写真や思い出の品が少なすぎて嫌だったから
自分の記録は残したい」
と言っていたらしい。
戦争や貧困でそれどころじゃなかった時代の事は仕方がない。
当時の父の心の中には
(自分がいなくなった後も
子や孫に自分の存在や生きて来た証を残したい。)
という願望があったのだろう。
以前から父と良く会話するのは
私と私の子供達だけ。
母も弟家族も
父とほとんど話さない。
うっとおしいと思っている。
私たちが近くにいないので
父は話し相手がおらず、孤独なのかもしれない。
そこで、
自分の持っている限りで
父の写真を全て集め、
コピーするか、焼き直すかして
父と私の思い出写真集を作ってみようかなと思った。
古いアルバムから現在まで、全て出して
大変な作業になるかもしれないが
ぼちぼちやってみようかな。
父がどう感じるかはわからないが
少しは、思い出してくれればと思う。