だいぶ前だが、私は体調を崩して休職していた時期があった。

下の子が小学校に入学した頃、職場に復帰した。
まだ完全な回復はしていなかったが
働かないといけないし、
薬を持ち歩き、何とか乗り切っていた。

その職場に私が復帰してすぐに
転職してきた女性がいた。

当時50代後半だったその人は
「前の職場で自分が優秀だったために周りから
妬まれて、居心地が悪くなったので辞めた」
と説明をしていた。


当時の自分より年上で、
若々しく、大人しい感じの人だったので
嘘を言っている様に見えなかった。

この人から色々教えて貰う事もあるかもと
思っていた。

ある時、彼女と一緒に仕事をする機会があった。

流石に仕事には慣れていて、
安心して仕事ができた。
契約先からの帰り道に
「私があの時、笑顔で対応したからうまくいったのよ。」
「私が、あえてああやったのが効果があったのよ。」
みたいな事を何度も私に話してきた。

単なるアドバイスかと思い、
素直に聞いていた。

でも、自己アピールの多い人だなと
夫みたいだとはちらっと感じた。

一緒に仕事していて楽だったので、
ま、いいかと気にしなかった。
PP_englishrose_TP_V

会社の研修が、日曜に行われた時があった。

彼女は利用客のフォローで仕事があると言い、
お客の所から急いで駆けつけ、遅刻してきた。
「お客様の都合で、仕方なく行ってきた」と言いながら
ばたばたと席についていた。

その時、私は彼女に違和感を感じた。

その日は、とても寒い冬の日だった。
皆、分厚いコートにズボンや
ブーツを履いて防寒スタイルの人で参加していた。

その中で、彼女は、
胸を開けたブラウスの上から薄手のジャンバー。
ひざ上ミニスカート。
素足にスニーカー。
見るからに、寒そうだった。

そういうファッションが好きなのは
個人の自由で良いと思うけど
この寒さで大丈夫なのかと驚いた。

ミニスカートの下は、タイツではなく素足だった。
冷えは大丈夫?と心配になるほど。
痛々しく見えた。

研修の部屋は、暖房がきかず寒かったのだ。

「その服装でお客の所で仕事してきたの?」と言いたいのをこらえ
「休みの日も、大変ですね」としか言えなかった。
                           続く