先日、母の電話で、父の愚痴を聞かされた。独身時代から永遠と繰り返されてきたこと。

どこの家でもある昔ながらの亭主関白。そのかわり、母は何も心配することなくずっと専業主婦で父に頼って来た。

今の生活も、裕福ではないが、年金で安心して生活していけるのも父が自分の事を後回しにして給料全てを母に渡して頑張ってきたからだ。

子どもの時は貧しかったが、父はタバコもお酒も飲まず、パチンコにも行かず、趣味は職場でのスポーツ、家での音楽鑑賞や読書といったお金のかからない健全な節約生活をしていた。今思うと、この父だったから私たちは学校にいけたのかもしれない、と思う。

当時はどこにも遊びに行けない、服も買ってもらえない、友達とも遊びにいけない、家に冷蔵庫も洗濯機もない、笑顔もない窮屈な家だと思った。特に私は女だからと差別的な扱いもあり、家がつまらなくて早く自立したかった。


それでも、今、当時の父を父親として振り返ってみると、責任感があったし、生活が苦しくても妻を働かせるのは嫌だ。その分、自分を後回しにして全て家族の為に給料を使い、絶対に食わしていこうという信念があった。

見方をかえると、昔の父親はDVと思われそうだが、うちの父の場合は男尊女卑はひどかったが、夫として父親としては模範的だったと思う。

お小遣いもとらず、スーツも同じ物をずっと着ていて、靴もよれよれでも我慢して履いていた。
母が「みっともないから新しいのを買って」と言っても、「大丈夫、それより食費に」と言っていたという。
その分、母は一円も無駄にできず、自分も我慢することになり、プレッシャーを感じていたらしい。


こっそり内職をして自分の小遣いは稼いでいたという。

どっちにしても、昔の家庭はこんな感じだったのではなかろうか。

あの頃の父の給料では、もし父がお酒やたばこ、パチンコなどをやっていたら、生活していけなかったと思う。

いっさい家族の前で愚痴をこぼさなかった父は、今、ようやく呟く。

「仕事を何百回辞めたいと思った事か」と。

職場から辞めろと言われる事もなく、必要とされてきたから続いたのだと思う。

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それに引き換え、我が夫は、辞める気はなくても、会社から必要ないと言われ、辞めさせられてばかりだった。

本人は「未来のない会社だから自分から辞めた」とか「自分の給料が正当な評価に値しないから辞めてやった」とか「他社から僕をひきぬきたいと誘いがあったから」とか、まあ気持ち悪くて仕方ないが、今でも世間に嘘を言っている。

次の仕事の就活の為に、そう言っているのかと思っていたら、そうではなく、本当に自分ではそう思い込んでしまっている。

いい加減、真実を知る人には、昔のそういう作り話はやめてほしいのだが、まだ言ってくるので気持ち悪い。鳥肌が立つ。

自分が数年しか勤務していなかった会社のことを、「自分が経営に参加した企業」とか「自分が研究した実績は」とか、もう詐欺としか思えないほどの妄想を語る。

他人の実績を自分の事と思い込んでいるふしがある。

それも、若い時からここまで飽きずにずっと同じ言葉を吐くというのがここまでくると病的だ。
いっそ、病気だと認定されたら良いのだが。

私がその嘘を指摘した場合、夫の表情は能面になり、口が歪み、鼻が膨らみ、真っ赤な顔をして怒る。

「何もしらないくせに」と。「女のくせに」「社会を知らないくせに」と差別的な事も言う。パニックになるのだろう。

嫌と言うほど同じ嘘を聞かされ、騙され人生を狂わせた事も忘れ、一番良く知っている人さえも「自分の事を何も知らないくせに」と言い張る。
夫にとって自分の嘘を信じない人は、「俺様が世の中で一番優れているという真実を知らない人。知ろうとしない人」という事になる。


私がずっと仕事をしてきたからこそ、夫は家族を捨てても平気だった訳で、その相手に「社会にでていないからわかっていない」とか「仕事の厳しさを知らない女ども」とか言うのだ。私の事も、嘘で変えてしまう。「自分の為に稼いで、食わせてくれない女は、世間を知らないだめな奴」ということらしい。

誰に向かって、妄想をぶつけるのかすらわからなくなっている。

1人で生活しているから、異常性が更に悪化?したのだろう。自分の世界にどっぷり浸かった生活だから。
ある意味、夫のおかげで父の良さが再確認できたことは良かった。逆に父のおかげで、夫のダメさ異常さがはっきりわかったが(笑)
                             続く