夫は話をしている時、一瞬不思議な表情をする時がある。

無意識に本音が顔に出るのだと思う。

ニコニコと笑って相手の話を聞いていても、パッと顔付きが変わる。でもすぐ元の顔に戻る。

縁を切れない関係、直接影響がある自分にとっては、その一瞬が見逃せない。ぞっとする。

口では「そうだね」と言われても、顔を見ると「何言ってんの?」と言われている気がする。
本人は無意識で、こちらの思いには気が付かない。

誰でも、話題によって表情が変わるものだが、そういうものとはちょっと違う。

姑も同じ顔をする時があった。
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どんな顔になるかと言うと、

●瞼が下がり、横一線のどよんとした目になる。
●頬の肉がさがり、無表情になる。
●口角が下がる。
●軽く頷くが、何か考えて居る風。
●嫌いな物を見る様な目つき。

大げさな嫌な例えをするならば、何かに取りつかれた様な感じというか。

それまでニコニコしてとても優しい表情だったのが、一瞬パッと能面みたいになったら、ぎょっとする。

その時私は(あ、今の言葉が気に入らないんだな)と感じて話題を変えるか黙る。

夫と姑が同じ変化をするというのは、夫が母親の影響を一番受けてきたという事だろう。
義兄や舅にはそういう事はなかった。

今思えば、夫と姑は独特の同じ雰囲気を醸し出していた。

私の想像だが、被害妄想が原因だと思う。

例えば、「元気?」と聞かれて「元気です」みたいな言葉でも反応する。

だから、顔が変わった時、え?これの何が気にさわったんだろう?と戸惑う。

想像するに「こいつは自分だけが元気だと自慢している。こっちが病気ばかりしているダメな奴だと馬鹿にしているのか」と妄想し、勝手に怒るみたいな、そんな事しか理由が見つからなかった。

被害妄想は確かにひどかった。

こっちが言ってもいない事、思ってもいない事を、まるで言っているかの様に決めつけて、「馬鹿にするな」と姑からも文句を言われたりとか何度もあった。

そういえば、夫は若い時から何でも人のせいにしていたが、さすがにそれは無いでしょと言いたくなるほど、被害妄想が強かった。

自分がやった事も、嫌な事は全て「誰かがやった」と言っていた。

例えば、自分が浪費しているのに、財布のお金が減ってくると「誰かが盗んでる」と言う。
家族まで泥棒扱いされた。

自分が使った後に、本気でそう言う。

レシートを見せて、あなたが使ったんでしょと言わないと認めない。
証拠を突きつけられると、ああそうだっけ。記憶にない。おかしい、確かに昨日はもっとあったんだと誤魔化す。
普通にガソリンが減っても、誰かが盗んだと言っていた。

自分が使ったから減ったという当然な事象すら、誰かのせいにして責任から逃れようとする考えが異常に強い。
おそらく子どもの時から、妄想で現実逃避する癖がついてしまっているのだろう。

母親の癖を真似ているうちに夫も同じ癖がついてしまったのか。
「お母さんのやる通りに真似をすれば間違いない」と言われて育ったそうだ。

こういう性質の人と接した後は、疲れやもやもやが残る。

知り合いにも同じ顔をする人がいた。この人と会うとなぜか疲れるのが不思議だった。あ、そう言う事か、と今気が付いた。