続き


また帰宅時に呼び止めるのか。という事は、また何か押し付けられる?と不安になりながら、椅子に座った。

にやにやしながら部長の横に座っている女性上司。
反して固い表情の新部長。
怒った様な表情で部長が口を開いた。

「あなたは、以前休職してましたよね。」と聞かれた。
「もう大丈夫なんですか?」
「また体調を崩されると、僕の立場が悪くなるんですよね」

と、私の返事を聞く事もなく1人で話しだした。

復帰してから、体調不良で休んだ事も無いし、むしろ以前より頑張っていたつもりだ。それを一番知っているのは女性上司だ。


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部長が怖い顔をしたまま話し続ける。私に反論させない様にあえて強い口調で話しているし、横で女性上司がうまくやれよと監視している様なそんな雰囲気。

部下のはずの女性上司が、部長より強いとは何故なんだろう。

「社員の健康管理は僕の仕事。体調を崩されたとなると僕のくびがとぶんだよ。もし、このまま君が仕事を続けてまた何かあったら困るんだよね」
と言う。
(それは私だけじゃないだろう。誰だっていつ病気になるかわからないし。
予想で話されても困るし、辞めさすのに、そういう理由しか浮かばなかったんだろうな)と感じた。

「要するにやめろってことですか?」とズバリ聞いた。
すると女性上司は
「そうじゃないのよ。そんな風にあなたに誤解されるから、こんな話しない方がいいって部長に言ったのよ。私たちはただ、心配しているだけなのよ。そうですよねえ?部長~?」
と普段見せない様な気弱なふりの演技をする。

「では何か言いたいのですか?意味がわかりません。」と腹がたってきて私はさっさと立ちあがり帰った。


そうか、他の人たちはこんなところが嫌になって辞めていったんだなとため息が出た。

私の反発が想定外だったのだろう。
上司が翌朝擦り寄ってきて、「昨日は部長がおかしな事を言ってごめんね~。私からも注意しといたから。」
とささやいた。

私が騒いだらやばいと思ったのだろう。こんな理不尽なパワハラを受けたと社内で話題になったら困るはずだ。この人はその辺がいつも甘く、バレバレな意地悪をする。

私は少し強くなろうと思った。この人に流されない様にと。

でも、それ以降、会社の玄関に入ると耳がキーンと遠くなり動悸がするようになった。
やられた~と言う気分だった。