母が、在宅で飲み薬の治療が始まった。

リンパ腫の薬だそうだ。他に副作用を抑える薬と一緒に。

高齢者なので量を減らし、1週間飲んだ後に診察し、様子を見るのだそうだ。

リンパ腫の薬は朝夕、1週間分。副作用をおさえる各種の薬は1カ月分。それで7千円といくらかだったそうだ。後期高齢者でこれだと、私なら2万いくらかになるわけか。

入院、手術もするともっと費用はかかり、大きな病気すると色々大変だ。
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母は父がちゃんと勤め上げ、退職金もでたし、年金も多くはないが心配せずに暮らしていけるし、病院代も心配なく払っていける。
父が体調崩すと母は、迷惑だとボロカス文句を言うが、母の方がよっぽど入院生活が多い。
父は何も文句言わず、その間1人で頑張っている。

なのに、母が私の忙しさや生活などおかまいなしに電話をかけてきて、自分だけが不幸みたいな話をしてくるのは本当に嫌だ。

許せないのは、「若く亡くなった人はいいわね。嫌な事から逃れられて。私はいつまでも家事をさせられて馬鹿らしいわ。」と言い出したことだ。

心残りのあっただろう親友のことが頭をよぎり、母が許せなくなった。


「やりたい事が沢山あったのに、できずに無念な思いで亡くなった若い人たちの気持ちがわからないの!?沢山の小さい子どもさん達も、生きたいと癌と戦っている子もいるのよ。これまで元気で長生きできたことに感謝もしないで何を言っているの」と言うと、聞こえないふりをする。

母の場合は、病気というより、寿命だと思うのだ。それは母もわかっている。

でも、「自分だけが何でこんな病気になるの。薬を飲み続けるのは世間体が悪い。」と毎回言う。

とにかく母は、差別主義者だ。
障害、病気を持つ人を差別してきた。
だから病気になったことは、人から差別されて悔しい、ということになるらしい。馬鹿らしい話だが。

母程、恵まれた人はいない。父も寝込んでいないし、母に介護させていないし、弟は近くにいて外出は車をだしてくれる。専業主婦で何もかも父に頼り、面倒な事は何もしてきていない。
父がいなければ今でも何も決められないのに、自分は不幸だと愚痴る。

真面目で頼れる旦那さんがいて、生活苦の心配がないだけで、私に比べれば天国なのだ。

母の電話のせいで、大事な用件が後回しになったりして、今日もそのことを言い、電話はなるべく控えてほしいと伝えた。

ただの暇潰しでかけてくる。そうせ暇でしょと言う、どこからそんな言葉がうかぶのか不思議だ。

私はただの便利なコントロールしやすい子どもにすぎないのだろう。母が病気でなければ、どなりちらすところだが。


こんな風に歳をとりたくないと思う、ただそれだけだ。