明日から母の抗がん剤治療が始まる。

抗がん剤と医師ははっきり話していたが、母は、耳が遠く聞いていなかった様で、「抗がん剤みたいな薬」という程度に思っている。

最初は病気を理解していた感じだったのに、時間がたつうちに、簡単なただの注射の様に頭の中でかえてしまっている様だ。

口では体力が落ちるかなあと言うがそれは副作用ではなく、だらだらと寝ているから、楽だからという理由のようだ。
何回も副作用があるかもとか、どんな治療かを説明したが、理解していない感じ。

こんな風なら、おそらくいざ副作用がでれば「聞いてない」とか文句言いそうだ。

「治療したいです」と自分から希望した事も忘れているのだから。
とっさに良い患者と思われたくて、いい返事をしたものの、後から後悔しているのかもしれない。気分でその場でころころ変わるのだろう。

検査で異常なしで、病気だという自覚を持てないから仕方ないのかもしれないが。

「何回も入院すると、病気だと人に知られるから嫌だ」と言い出した。

「お見舞い客が来るのは嫌だ、病気の事を色々聞かれたくない」と言う。

近所の人には、「ただの検査入院だから見舞いはこなくていい」みたいな事を言って断ったと言う。

それはそれでいいと思う。

感染が怖いし、母の負担が重くなるのも心配だからお見舞いは断った方がいいと思う。

なのに、病院に提出する書類に、お見舞いを断るかどうかの欄があるそうで、断ってほしい方に〇をしたかと思ったら、許可するに〇をしたという。

何でそんな事をしたのと聞くと、
もし、受付で断ってくれても「せっかく来たのに断るなんて」と自分に嫌なイメージを持たれたくないと言うのだ。

「見舞いは嫌じゃなかったの?免疫力が無くなるのよ。副作用がでたらどうするの、嘔吐する姿を見せるの?それより感染したらどうするの。患者なんだから余計な気は使っちゃだめよ。家に来るお客様とは違うのよ。そう言いながら、見舞客が来たら後からまた文句言うんでしょう?」
と大きな声で言った。

さんざん、これは嫌だと言い続け、いざとなると真逆の事を言ったりしたりする。そして自分がしたことを、裏で、あの人がやらせたと文句を言うのだ。

母の表裏のある行動に巻き込まれた人は迷惑な事だ。

京都の人では無いが、強引に人を家に入れといて、帰ってから「ずうずうしい」と言うタイプだ。

どっちみち、病院の方で、見舞いは断ってくれるだろう。感染に気をつける時期は。

化膿している傷口も指でいじって悪化させていて、触るなと医師からも私からも注意されても「触ってない」と言いながら、触っていた。

注意してもしたい事は嘘ついてでもやる。心配して助けても、本人が気をつけないと意味が無い。
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私に「何もできない。安静にしたい」と言い、一切の家事を頼んだかと思えば、買い物に勝手に一人で出かけたり、物置で作業をしたり、したいことは禁止されてもやる。

そんな元気があるなら、家事やれるでしょと言うと、できないと言う。
嫌な事は嘘をついてやらないのだ。

そんなだから弟も「なあんだ、元気じゃん」と思って尚更家事なんてやるわけがない。
母の行動にも問題がある。これは老化ではなく、昔からの性格だ。

私の服だけ洗濯してくれない。アイロンもかけない人だった。
だから学校に行っていた時期は、自分の服は夜中に洗濯し、制服も自分でアイロンをかけていた。部活の服も毎日、母が寝た後、洗っていた。

母は弟や父の服は綺麗にアイロンかけていたので、私の分だけ放置されていたと思う。
友人に聞いても、ここまで表裏のある母親はいなかった。

でも、悪い事ばかりでは無く、助けてもらったことも多い。恩は恩として返したいと思っている。


現実に介護している人の苦労はこんなものではない。介護職員さんもそうだ。
一生懸命お世話しても、暴言をはかれたり、報われない事が多い事だろう。

私はまだ何もしていない。母は、まだ介護状態にもなっていない。甘い甘い。