不安なのか、母から毎日電話がかかってくる。

弟からも母の様子は聞いているが、本人の声を聞くと安心できる。

昨夜は、少し元気が無かった。近所の例の人がお見舞いに来て、根掘り葉掘り病状を聞いてきて、参ったとのこと。
「まだ検査が色々あってわからないけど、大丈夫よ、あと10日ほどで帰れると思う」と話した様だが、納得していない様子だったという。

この人は、悪い結果を聞かないと納得できないのだろうか。
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それともう一つ、予想した事が起きていた。

弟嫁だ。空港からまっすぐ見舞いに来たという。
こんな時でも遊んでいたのはばれているので、ばつの悪そうな様子かと思ったら、とんでもない、そういう人だったらとっくに帰ってきている。

嫁さんが母を見て真っ先に言ったことは
「なあんだ、お母さん、元気じゃないですか~。私は忙しかったのに。」だったそうだ。予想通り。

その日、流動食を食べて再び腸閉塞を起こし、苦しんでいる時だった。「痛い、痛い」と言う母を見ながら、はらはらしている弟の前でそう言ったのだ。

手術が決まり、母が弟にタオルや不足している物を家から持ってくる様に頼んだらしい。
弟が家のどこにあるのか詳しく聞いていると、横から弟嫁さんが「全く何やってんのよ。ちゃんと探せばいいでしょ」と母の前で弟を怒ったという。


そこ、怒るところじゃないでしょ。何を他人事のように言っている?「私が探しますから大丈夫ですよ」とか「うちにあるのを持ってきますから大丈夫」とか言うならまだしも。

自分は何もすることなく、弟にちゃんとしろと怒るのは、母にとって気分の良いものではない。

でも、お嫁さんはそこがわからない。彼女の心理は、弟をけなせば自分の株が上がると思っている。

こういう事は私の前でも、父の前でも良くあるからわかる。

自分の評価を上げる為に、弟をけなす。この人は私よりだめです、だから私が何をしても正しいのですと言いたいらしい。
全くそんな事には騙されない。というか、そんな事をしたら逆に自分の人間性が下がるよと言ってあげたくなる。

最初から自分はそういう考えだと宣言してくれていたらまだしも、結婚する時、そうでは無かった。大人しい尽くすタイプに見えた。
それでも、何回も弟は彼女のアプローチを断っていた。

だが、「ご両親を大事にしたい、長男の嫁として近くにいてお世話もしたい」と熱心に訴えられ、熱意に押されて結婚したのを覚えている。

あれは何だったのか、別人じゃないか。夫と同じだ。姉弟そろって同じタイプの人と同じ様な結婚をし、情けないものだ。

そういう人を見抜けなかった我々にも責任がある。私と弟はターゲットになりやすいタイプなのだろう。

それにしても、今の母には余計なストレスは与えたくない。

手術は高齢の母にはいちかばちかなのだ。目が覚めない可能性も覚悟の上なのだ。


毎日電話をするたび、これが最後になったらどうしようと思っている自分がいる。

それも全て知った上で、思いやりのあるふりとか優しい演技すらできない人間が身内にいるとは悲しい。

いっそのこと、旅行にいっててもいい、バツが悪くて顔を見せられないと言う風にしていればまだ救いもあったが。

何故近くに家を建てたのか、と思ったが、親を利用する為で、親を助ける事は頭に無かったということに結果的になってしまった。


弟もできる限り動いてくれるが、限界がある。
私も近くにいたら毎日、何かできただろうが、遠くて自由に動けないのがはがゆい。こんな時、夫がまともだったらと恨めしくなる。


私はまず自分が生きて行かねばならない。今倒れることはできない。


実家を助けたい人が生活が苦しく、遠く、自由が無く、助けたくない人が近くにいて、裕福で時間もあって自由だなんて、皮肉な話だ。