Mさんの話の続き


Mさんの娘さんは、張り切ってお父さんの会社で仕事を始めた。


住むところもお父さんのマンション。


まだ若い娘さんは、社内では可愛がられる存在になった。お父さんである社長に気を使ってではなく、娘さんの素直な性格が好かれた様だ。

面白くないのが副社長。予想通りだ。


皆の前では、優しい良い上司として振る舞っている。

だが、裏では「あの子はのろまで、頭が弱い。あれではどこで働いても通用しないわ。可哀想だから雇ってあげてるだけ」などと、外部の顧客などに言いふらしていたという。


その表裏の違いに、恐怖を感じる社員や親密な顧客は、彼女に逆らえなくなる。嫌われると何をされるかわからないからだ。

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社長は娘可愛さに、追い出すどころか一緒にいられる事が嬉しそうだったとか。

それにしても、ずるい父親である。
自分だけいいとこどりだ。
彼女も家族も、両方自分の都合よくそばに置く。奥さんも彼女も幸せとは言えない。一番悪いのはMさんのご主人。

いずれ娘さんも、父親と副社長の関係に気が付くだろう。

副社長が故意に娘に2人の関係を知らせる様な行動をするのでは。と周りは心配していた。

Mさんも、それは覚悟の上だった。
もう娘は大人だし、自分が話すより娘が自分で気が付き、父親に自分の気持ちを訴えることもいいかもしれないと考えて居た。

本当は、子どもたちに知らせず、妻である自分が夫を説得してどうにかしたいところ。
でも、DV体質の夫が妻の言い分なんて聞くわけがない。

子どもの力をあてにするのは母親としてどうかと思ったが、その時のMさんは、娘に頼るしか無かった。

その上、もし自分に何かがあった時、子ども達が何も知らないままだと困る。

家庭を守る為にはやむを得ないと覚悟していた。

娘が、父親と目の前にいる会社の上司の関係を知る事は衝撃だろう。傷つくだろう。

副社長が、母親と一緒に一生ご主人に付きまとうという恐怖がある以上は、仕方がないと思っていたという。