続き

”副社長のお母さんがいきなり深刻な雰囲気で会社に来た”という話を聞いた時、Mさんは(もしかしたら娘と社長の関係を知り、別れさせようと話をしに来たのか?)と一瞬期待した。
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社員の電話は続く。

「社長室の中で、社長と副社長とお母さんの3人で深刻なムードで話をしていました。見学とか挨拶で来られただけなら、もっとにこやかに接して、中を案内したりするはずです。でも、お母さんは真っ直ぐに社長室に入っていき、社長も笑顔もなく黙っていました。

壁の仕切りは薄く、声が聞こえました。お母さんがほとんど話していました。”一生面倒をみてくれるのですか?とか、どう責任とってくれるのか”などの言葉が聞こえましたよ。


しばらくすると、お母さんが帰ると言うので、私が駅まで送って行きました。

お母さんは、独り言の様に”早く孫の顔を見たいのに。困ったものだわ”と悲しそうに呟いていました。私はどう答えていいのかわからず黙っていました。」

お母さんは、別れさせたい気持ちがあるのは確かだろう。親なら当然だとMさんは少し心強い気持ちになった。が、その後に聞いた言葉が、Mさんをショックを与えた。

「孫の顔を見たいのに、としきりに呟いていたのです。そこでピンときましたよ。副社長は妊娠したのではないかと。」