古い知り合いの女性Mさんの話をしよう。友人が時々近況を教えてくれる。

Mさんのご主人は会社を経営している。従業員は数人の家庭的な会社らしいが、うちと同じく別居中で会社は県外にあるらしい。


Mさん宅は、仕事の都合でやむなく別居になった訳で、うちの別居とは全く違う。

親の介護や子供さんの学校や家を買ったばかりという事情で、単身赴任になり、そのままご主人は赴任先で会社を作り成功したのだ。


すぐに収入も安定し、定期的に帰宅するし送金もきちんとしてくるご主人だという。最近は多くなったが、最初の頃は高収入のはずなのに、送金額が少なくて苦労したと聞いた。

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時々、Mさんは、ストレスで体調不良を起こしていた。
ご主人が原因だという。

典型的なDV,モラハラ夫なのだそうだ。

職場でも男性社員に対し、叱責したり、暴力をふるったりする事もあるらしい。指導と称して。なので従業員の人の入れ替わりが激しいと聞いた。

カッとなると、子どもにも暴力をふるう事もあったそう。

でも、責任感は強い人で、父親としてしっかりやるべきことはやる人だそうだ。
仕事においても、慎重派で社交的で、信念をしっかり持っている人なので、社会的な信用がある人なのだ。

だから生活の不安などは無く、専業主婦であり、根本的にはご主人を信頼してきたMさん。

大きな利益をあげている社長夫人という立場になり、収入も安定し余裕のある生活になってからは、離れていることもあり、子どもさんとご主人との関係も良くなってきたらしい。

普段は子煩悩で、DVのスイッチさえ入らなければ良いお父さんなのだそう。


Mさんの体調は、単身赴任が長くなり、ストレスから開放され元気になってきたそうだ。
時々は、Mさんがご主人の所に行き、夫婦で旅行にいったりしている。癇癪持ちのご主人のご機嫌を伺いながらだが、たまに会うのだからとご主人も気を使ってくれるそう。

こんなパターンなら、DVでも耐えていける。お金は全てご主人が握り、高額な送金はないけれど、サラリーマン時代よりはずっと多いので、満足しているそうだ。


そんな良好な状態が続いていたある日、(会社設立から10年が経った頃)ご主人と一緒に会社を支えてきた大事な部下が、突然自宅を訪ねてきたそうだ。
                              続く