当時は、毎朝会社に着いてから朝礼が始まるまで、M子さんは私にいつもくっついていた。
1人でずっと何か喋っている。自分の事を。
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自分の過去の話もしてくるが、私の話は聞こうとしない。その過去の話も次第にどこまで本当なのかなと疑わしく思うような内容だった。
ただ、誰かに聞いてほしいのだろう、喋ることがストレス発散なのだろうと思った。
           

私としては、気の合う人は他にいて、もっと他の人とも話したいのだが、M子さんは割り込んできて邪魔をしてきた。
この土地に引っ越してきたばかりの私は、方言がよくわからず、時々その意味を聞き返す事があった。

ほとんどの人が、方言はあまり使っていなかったが、M子さんは、私の前では素をだすので、方言で早口で話す事が多かった。

私も早く土地に慣れたくて、方言も覚えようと思った。M子さんが、難しい方言を使った時に「今の○○というのは、どういう意味か教えて。ここの○○弁だよね?」

と聞いてみた。すると
「え?そんな言葉使ってないわよ。私、方言なんか知らないわ。それにその言葉は標準語よ。」と急に言葉使いが変わった。


方言と言われて、ムキになっていた。
「どうして?○○弁とてもいいじゃない。早く覚えたいから聞いただけよ。」と言っても顔がひきつったまま。

M子さんは、馬鹿にされていると思ったのだろうか。地元で誰もが使っている言葉だし、堂々と使って当たり前。馬鹿にされると思う事がとても変だよと思った。


私は自分も地元で方言使うし、馬鹿にされるとかされたと思った事もない。むしろ、教えてと言われてどんどん友人に教えた位だ。

M子さんの価値観は、そうなんだろうな。”都会的、お金持ち、男性に好かれる、”それがM子さんの行動から見て、彼女の人間的価値なのかなと感じた。


ある時、私の子どもはまだ小さかったが、M子さんにこんな事を言われた。
「近くに高校がいくつかあって良かったわね。通うのが楽ね。しかもランクの低い学校ばかりで良かったわね。お宅は難しい学校は行けないでしょうからね。私の甥っ子は、頭が良くて△高校なの。家から遠くて通うの大変みたい。」

何も我が家の事を知らないのに、勝手に決めつけて話す事に驚いた。
M子さんはとにかく相手の顔も見ないで1人事みたいに喋りっぱなしなので、何かにとりつかれたようなのだ。

もっと驚いたのは、私は子どもがおり、M子さんは子どもをこれから産みたいと思っていた時。

欲しいがご主人が協力してくれないとか、そんな愚痴もよくこぼしていた。

それは私も素直に聞いていた。するといつのまにか私まで「子どもができなくて悩む主婦」に設定されていた。
M子さんに言われたのだ。
「私はまだ若いから可能性あるけど、あなたは歳からいってもできにくいから大変ね。子ども欲しいでしょう?可哀想に。」

え?子どもがいると知っているのに?これは変!
「いや、私子どもいるし、もういいし」と言ったところ、M子さんは、目をそらし聞こえないふりをした。


M子さんがストレスになってきた。避けたいのに避けられない事が苦痛になった。