その後も、T君はコンビニで万引きをし、学校に通報されたり、友達の家の犬を虐待したり、空き家に侵入して、窓や家の中を壊し、警察にきつく注意を受けた事もあったという。


まだ小学校の低学年だったことから、悪戯扱いですんだのだろう。
さほど接触の無い我が家ににこれだけ情報が入ってくるという事は、他にも色々トラブルを起こしていると思われた。


親御さんは、ここまで我が子が問題行動を起こしている事をどう思っていたのだろう。

自分なら悩み、苦しみ、自分を責めたかもしれない。

T君は見た目は全くそんな事をするようには見えない。行動も大人しく、素直な感じに見える。


しかし、私がT君を見た時に感じた説明のつかない不安感、恐怖感みたいなもの、それはT君の本質か、生まれ持った何かを本能的に感じ取ったのだろうか。


こんなに小さいのに、どうしてこんな事ができるのだろう、とショックだった。


私は、子どもの友達を親が選ぶ事は抵抗があったのだが、T君に関しては、なるべく関わらないでほしいと内心はらはらしていた。


我が子自身も私と同じ感覚を持っていた様で、T君とは距離を持っていた様だ。


5年生の時、T君は引っ越して行った。お母さんの実家に住む事になったと聞いた。


見た目と行動があんなに違う子がいるという事を思い知った記憶。


今どうしているのだろう。元気にしているだろうか。落ち着いただろうか。幸せかな。

長く、何も噂が入ってこないと言う事は、良い事なのだと思っている。