実家のご近所さんの話は続いた。

「それがね、あのお宅の隣の人が盗んだに違いないって言うのよ。
警察にもそう話したって。」

「えーっ。それはありえないでしょう。
道路沿いのお宅の丸見えの庭から、
真昼間に布団を盗んだら誰かに見られるし、
すぐばれるでしょう」
と私だけでなく母もそう感じると言う。

「でも、お隣にはそう疑われる様な理由があるのよ。」

お近所さんのお隣の人は、60代後半、独身男性の1人暮らし。

お母さんと二人で暮らしていたが、お母さんは数年前亡くなられ、
それ以来1人で暮らしておられる。

お母さんが健在だった時は、
母もそのご近所さんも仲良くお付き合いをしており、
息子さんとはめったに会う事は無かった。

が、お隣の息子さんが定年退職をされた後、
家に居る時間が多くなり、
近所のお婆ちゃん達と親しく立ち話をする様子が良く見られる様になった。

警察の聞き取りでは、男性は「お隣とはどういうお付き合いですか」と聞かれ
「母親みたいな方だと思って接しています。」と答えていたそうだ。

全く自分が疑われているとは感じていない風だったと母は言う。
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母もその騒ぎに巻き込まれて、
返事に困ったと言う。

母が「勘違いでは?」と言っても、
「私はぼけていない!確かに布団は干したし、無くなっていたのも嘘じゃない!」
と頑固に言い張るご近所さん。

高齢者には、認知症が進んでくるとこういう事は日常よくある。

家の中に入って、
どの布団か聞いて、本当にそれが無ければ確認できたのだが、
そこまでは誰もできなかったらしい。
だから、勘違いなのか、真実なのか誰にも調べられなかった。

こんな時、このお隣さんにご家族がいればなあと思う。
子どもさんは遠くに住んでいて、
滅多に帰って来ない。

疑われたお隣の男性は、
普段から少し行動に違和感を感じさせるところがあったらしい。    続く