続き

その裏には、別の思惑もあるようだ。

母個人の考えのようだが、実家を私に相続させたいらしい。

「父が先に逝ったら、私が家をあなた名義にしてもいいが、もし私が先だったらそうはいかないよね。」と言い出した。

嫁さんの言いなりになる弟が、相続で色々と私たちを苦しめるのではないかと心配になったらしい。

母の希望は、「自分たちがいなくなった後に、(私や私の子ども達が)帰省した時に使ってほしいし、しばらくは家を残してほしい」とのこと。

「そっちの孫(私の子)の誰かに貰ってほしい」と言う。
父は古い考えで、男尊女卑があり、弟にやると言い出しかねない。

そうなると弟夫婦は即実家を売り飛ばすだろう。
あの嫁さんなら、母の遺志と訴えても、無視するのは目に見えている。

「そうなると、法事やお墓参りのたびに、あなたたちは旅費もホテル代もかかって大変になる。
あの子たちが、あなたたちを家に泊めるはずがないからね。
おそらく○○家を無き物にされてしまうと思う。親の法事もしない気がする。」
と、母の心配は尽きない。

弟嫁は、人を接待したり、頭を下げる(挨拶する)のが嫌いな人なので、それに両親は悩まされてきた。

母は「嫁さんが仏壇も置かない可能性もある」「置いても勝手に捨ててしまうかも」と心配していた。

弟がちらっと「嫁が家仏壇が家にあると人が来るから(接待したくないから)置かないと言ってる。確かにそうだなあ」と言っていたらしいのだ。

それで、私と私の子なら自分の遺志を聞いてくれそうな気がしたという。

「私と一緒に○○ちゃんが住んでくれたら堂々と○○ちゃんのの名義に私が変えてあげられる。」と言う。

もし弟が文句言ったら「あんたたちは何をしたの。何かしてくれたの?孫が転職までして私と住んでくれてあなたの代わりに世話もしてくれたんだよ。と言ってやる」とのこと。(言えないだろうけど。)
kominkaGFVL4078


「私が1人残ったらそうすればいいんだって思いついたら、気持ちが明るくなったのよ。何だか希望が持てた」と母が興奮気味に話していた。


実際そういうことは、不可能に近いと思うが、そう思う事で母の気持ちが晴れるなら良かったと思う。

我が子を巻き込むことは嫌だけど、非現実的な話なので今は聞き流すことにしている。

母の気持ちはしっかり受け止めて否定もしない。「そうなればいいね」と明るく答えた。

母がそう考えるには、きっかけがあった。

先日急死した従弟の葬儀の際、従弟の妹、母にすれば姪が、

「両親が亡くなった時、兄は相続財産を全部私に譲ってくれたんです。手続きも何もかも兄がやってくれました。感謝しています。こうなった今、兄のお陰で相続の手続きに悩まなくてすみました。」と話していたという。

それを聞いて母は感心したらしい。

弟に、甥っ子のした事を真似してほしいと思ったというのだ。

でも、母の性格では、またすぐ違う事を言いだす可能性もある(笑)。

「だめもとで、遺言書を書いたら?メモでもいいから自分の希望を書き残したら?」と何回言っても、「そこまではしなくていい」と聞き入れない。

母は信用できない人なのだ。