母の通院日。

さっそく連絡がきた。血液検査では前回は白血球数が下がっていたので、今日の結果次第では投薬休止になるかもという話だった。

今日は、少しだが数値が上がっていたので、薬は連続することになった。

「いつになったら治療が終わるんだろう」とぶつぶつ言っている母と弟だが、癌の再発の恐怖というのは私の方が強く持っている。

いくら腫瘍を取り除き、抗がん剤で癌を叩き潰して今は何の自覚症状が無くても、治療をやめたらすぐ再発するんじゃないか。
今は薬で抑えているだけではないかと思ってしまう。

母のリンパ腫は進行の早い、たちの悪いタイプだと言われた。

母自身はそこまで理解していない様だ。
風邪か何かの治療をしている感覚みたいな事を言う。
髪が薄くなっただけで、他の副作用が無いからなのかもしれない。それ位がこちらも安心ではある。

「いつまで薬飲むの?もう終わってもいいんじゃない?何ともないし元気だし。」と母が言う。

「でも、再発したらいやでしょ。」と聞くと「二度とあの痛みを味わいたくない」と答える。

「薬を止めたら、再発する不安があるよね。いつでもやめていいんだけど、再発が不安なら飲んだ方がいいよね」と話すと納得する。その繰り返し。
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母は、世間体をとかく気にする。
近所の人に病気だとばれないようにしたいとか、近所の人より元気でいたいとか、勝ち負けで考えてる様だ。

病気になれば負けな様だ。そう言いながら、お互い何かあれば助けあっているのが可笑しい。
でも、近所のお友達からこんな事を言われたらしい。

先日、近所のお友達の1人が母に助けを求めてきて、救急車を母がよび、病院につきそった。
後日、たいした事がなく帰宅したお友達。

母が別のお友達に「○○さんがたいした事がなくて良かったわ。駆け込んできた時は心配したわ。お互い歳とってきていつどうなるかわからないからね」と話した。
すると、その別の友人は「あなたはもういいじゃない。どうなっても。長生きしたから満足でしょ」と母に言ったというのだ。

唖然とした母。
お友達だと思っているご近所さんから、「あなたはいつどうなってもいい人。」と言われたようなもの。

何て失礼な事を言うのだろう。そう言えばこの人、母が腸閉塞で入院した時、絶食中にそれを知った上で、果物を持ってきた。食べられないとわかった上で。無神経なのか嫌がらせかというレベルだ。

その時は、まだ腸も切る予定はなく、病気もわからず、検査中だった。
そこまでしか、入院の理由は近所の人には話していない様だ。

そんな変わった人でも、近所だからと仲良くしている母。

何もかも話せばもっと酷い事を言われそうだから、近所の目を気にしているのかもしれない。

母の気持ちはわからなくもない。その点、私はそこまでご近所付き合いはしていない。

ある意味、気楽だが、何かあった時に駆け込めるような存在の人が近所にいた方がいいのだろうか。