弟から母の様子を伝えるメールがきた。
直接母と電話しているからわかってはいるが、弟から聞くとより正確にわかるので、良い。

脱毛の事を聞いてみた。
すると「毛が抜けるくらいどうってことないけど、他に何の異常もなくて、気が抜ける。」ときた。

なあんだ、元気じゃないか。っていう気持ちだろうが、ほっとしているのは伝わる。親なんだから。
最初、1人で医師からいきなりもう余命いくばくもないと言われた時のショックを考えれば、今はどれだけ落ち着いているか想像できる。

だが、弟は冷たい面もある。母の気持ちを想像できない時がある。

髪なんかどうでもいいじゃん、身体が動かないよりは。という言葉は、自分の都合で出た言葉に聞こえる。
嫁が全く動かない。口は出すが、何もしない。だから弟も本当の介護状態になったらおそらく何もしない気がする。だから親に寝込まれないことだけが不安な様だ。親の気持ちは想像する余裕も無い。


女性にとって、髪が無くなるというのはどれだけ辛いだろう。まして母は、自分は癌だけにはなりたくないと思い、髪が抜けるまで、癌ではないと思い込もうとしていた。
近所の人、親族にも嘘を言い、病気ではないふりをしている。

髪が抜けたら、ばれてしまう。

母の落ち込みもわかる。弟は母の病気への恐れの気持ちは理解しない。なぜなら、世話をしたくないから、病気じゃない、大丈夫、いつまでも元気。自分でやれる。と思いたいのだ。

だから、母が腹痛で苦しんで、吐いている最中にも、弟嫁が「お母さんたら、元気なんだからあ」といい放ち、その日以後、一度も顔を見せない。

「親は元気だから」と言い訳をしているのだ。
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2年前、母が人工関節の手術をした。その時も手術であろうが入院しようがおかまいなく、お嫁さんは2か月、旅行に行った。

それで、私が世話に何回も行っていた。

手術の後処置が悪く、足首から先がマヒしてしまった。
医師は、元に戻るかどうかわからないと不安な事を言っていた。母は、ショックで、何の為に手術したのかわからないと落ち込んでいた。     続く