母は今日から抗がん剤の治療が始まる。

昨日、血液科の病棟に入院した。窓側で良かった。夜が退屈で長いから、夜景が見えていいと言う。

いよいよなんだなあ。
抗がん剤が体内に入れば、もう元の身体に戻れなくなる気がして辛くなる。

今でも、すぐに治るよねと言う母。治ると思う。でも高齢だしあと何年元気でいられるかなあ。
副作用と再発の不安で時間が過ぎていくのは避けたい。

どうやったら、苦しむことなく、幸せな最期を迎えられるものだろうか。
無理な事だとわかっていても、人間誰でも、そういう終わり方を望んでいるはず。

食べ物も制限があり、腸の術後に言われていた昨日までの食事とは正反対らしい。

これまで、ヨーグルト、みそ、チーズなど食べて良い物だった食品が、ダメになった。

いっさいの免疫が無くなるのだから、菌は善玉でもダメってことかな。

高齢でもこんな風になるのは辛く、可哀想になってくるのに、これが我が子だったらどうなるんだろう。

小さい身体で、こんな辛い事を長い間繰り返すなんて、神様を恨むだろう。

世の中には多くの重い病気と戦う患者さんがいる。

そう言えば、30代で友人の妹さんが白血病になり、友人が何もかもお世話していた。治療費も、妹さんの子どもの世話も。友人が独身だったから思い切りできた。妹さんの旦那さんも病気で、とても大変だったと思う。

他にも40歳で白血病になり、バリバリのキャリアウーマンだったのに、寝たきりになってしまった人もいた。治療の副作用で、肺がダメになってしまった。

旦那さんは、仕事を辞め、夫婦で稼いで買った別荘などを売り、全てを介護に捧げておられた。

母は、ただの小腸腫瘍なら今はすっかり完治して、元の元気な母の生活に戻っていただろう。母もそうだと信じていた。

血液の癌だなんて、どうしてそんなものがあるのか。

一生懸命真面目に生きている人がそんな病気になるのは納得いかない。
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昨日、母からの電話で、「隣の棟は重病者の部屋みたいだ。私の棟も子どもは面会禁止で、面会はマスク、消毒必須と書いてあるわ」と驚いた声だった。

「当たり前よ。感染が怖いんだって何回も教えたでしょう。無菌室に入るのかと思っていた位よ。」と私が言うが、今になって、やっと自分の病気と治療の深刻さに気が付いたようだ。

今日から辛い日が続く。せっかく気分も体調も良いのに、わざわざぼろぼろにする気がして、抗がん剤の治療はどうにかならないものかと思う。