当時の私は、趣味の合う友人と遊ぶ方が楽しくて、恋人ができると行動が制約されてしまいそうだから嫌だなと思っていた。

実際、りーは、友人ができる前に、恋人と過ごす時間が増えていた。
周りも気を使って誘わなくなり、りーの人間関係は狭くなっていた。

そのまま4年間を過ごしたりーは、大学時代の思い出は彼氏一色だった。
「友人と遊んだり勉強したりの思い出が何も残っていない」と卒業する時は嘆いていた。

友人との関係が確固たるもの?になってから、恋人ができるのが理想だったのと、当時の私には全くそんな気持ちの余裕も無かった。

だから、彼女に言われた事は全く的外れだった。

反論するのも馬鹿らしく、それ以来、りーとはほとんど話さなくなった。

自分は楽しく過ごしていたし、まいいやと気にしないでいた。
NKJ56_syanainoturikawa_TP_V1

そんなある時、電車でばったり、りーの彼氏に会ってしまった。
彼氏は私を見ると近寄ってきた。にこっと挨拶をしたら、怖い顔で

「あのさ、困るんだよね。僕に彼氏を紹介してってりーに頼んだくせに、すっぽかすなんて良くないよ。恋人なんてそうやって焦ってつくるもんじゃないからね。注意しとくよ。りーも僕も迷惑してるんだから。気をつけてよ。」
と怒っているのだ。

「は?何の事でしょうか?」と私が言うのを聞いているのか聞いていないのか、先輩はそのまま電車を降りていってしまった。

仮に私が、それは違うとりーの嘘だと説明しても、彼は信じてくれなかっただろう。


翌日、りーに私は抗議した。すでに、私に説教した事を彼から聞いて慌てた様だった。

まさか彼が私に直接言うなんて予測していなかったのだろう。

「誤解しているのよ。私から説明しとくわ。」と誤魔化していた。顔はかなり焦っていた。

唯一一人しかいない友人をそんな風に陥れて、何の得があるのか、理解できなかったが、もうどうでもよかった。
とにかく私に関わらないで。ほっといてとだけ言いたかった。


りーは地元のお祭りで、ミスコンテストで優勝しており、有名だったらしい。優しい両親に可愛がられて成績もよく、目立つ存在だったとか。
本人にしたら、そんな自分が大学で友人もできず、彼氏とべったりの生活なのはどこか窮屈に感じていたんじゃないかとも思った。

私が友人達とライブにいったり、ナイターや映画にもよく出かけて行ったり、アパートに泊まり歩いたりとかそんな友人達との楽しみが、彼女には無く、恨めしかったのではないかと想像した。

りーは、サークルもやめて、益々孤独になっていた。