来週、旅行先から帰宅する予定だった(2か月間の留守)弟嫁が、急遽帰宅すると言う。

おそらく、私が帰省したから慌てたのだろう。

それと、嫁さんの親族から注意されたと思われる。
母が余命宣告されたと知っているのに、帰らず遊び続けているのは、普通に考えてもまずいと誰でも思うはずだ。

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弟夫婦は実家のすぐ近所に家を建て、子どもはうちの両親にほとんど預けっぱなしだった。

意志の強い嫁さん中心に皆が気を使い、もめる事も無く、母はお嫁さんのご飯を作り、世話をし、小遣いをあげて、「いざとなったら世話になるのだから」と大事にしてきた。

そこまでする必要はないのにと思うほど。それを当然の様に甘える弟夫婦にも驚いた。


母が普段私に言っている事と、お嫁さんにしている事は正反対だ。

もし私が同じ事をしていたら、どれだけ怒鳴りつけられ、縁を切るとまで言われた事だろう。
それがお嫁さんには何も言えず、いつも優しくしている。

世間に対しても非常識な態度をとる時も、黙っている。
愚痴は私に吐き出し本人にはペコペコしている。よいお姑さんと思われたくて努力している。

それを知っているお嫁さんの親族は、常に頭を下げ、申し訳ないと謝ってくれる。それでもお嫁さんを誰も責めないし、悪く言わない。

お嫁さんを大事にするのはとても良いが、大事にするのとご機嫌うかがうのとは違うでしょうと私は思っていた。

以前の入院の時も、退院まで旅行に行ったまま全く顔を見せず、親族が謝ってきて本人は全く普通。

お嫁さんの親族はまたか、と嘆いている事だろう。お見舞いにいきたいが、嫁さんがいないのにバツが悪いのだと思う。

何やってんだ。早く帰ってこいと言われた事だろう。

おそらく、帰ってきたら、不機嫌で「全くお義母さんのせいで旅行の邪魔されたわ」と文句を弟に言う事だろう。


母が話しかけて場を明るくしようとしたら、後から「お義母さんは全くお喋りなんだから」と私と弟に向かって言ったあと、私に「あなたからお義母さんに注意しといてよ」とも言われた事がある。
母は、彼女のそういう面は良くわかっている。

足の手術の副作用で、一時期神経がマヒした時も、「仮病でしょ。」と決めつけられた。弟はそれをそのまま母に伝え、母は悔しがっていた。
それでも私に愚痴るだけで、弟夫婦には文句言わず黙っていた。

最近は、流石に母は「お願いしますね」とお嫁さんにはっきり言ってはいるが、効果は無い。

そんな時の弟は、黙って耐えている。何を言っても無駄で、彼女が不機嫌になるのが嫌なのだ。
それがモラハラと同じ構造に思える。


普通は奥さんが帰れば楽になりそうだが、弟の場合、精神的に縛りつけられて自由に動けなくなるのではないかと心配になる。

プライドがあるので、いっさい家庭の愚痴は言わない弟。
だから私も母もいっさいお嫁さんの話題はしない。

どういう人であろうと、弟がそれで良ければ良いのだ。幸せなら。

そう思って我慢してきたが、やはり自分の親の大事な時にこういう態度をとられるなんて予想していなかったのではないか。

長い間、結婚生活をしてきて、似た者夫婦だったし、弟も奥さんの考えに染まっている面もある。
共依存の状態に似ている。

羨ましい人だ。こんな好きに生きていけて、周りが言いなりになってくれるなんて。
自分がどう思われても気にならない、自分は正しいのだからという自信があるのだろう。

世の中不公平だなと彼女を見ていて、妬ましくなる。

でも、考える。彼女の幸せの裏には誰かの我慢があるのだ。

弟は、プライドなんかいいから、私だけでも本音をこぼせばいいのに。どうせ私の方がひどい生活しているのだから。
人の悪口を言わない性格で大人しいので、嫁さんはそこが気に入ったのだろう。

以前、鬱病になり入院したこともある弟。「病院は天国。家にいたくない」とその時、私だけに言っていた。

嫁さんは、「仕事のストレスが原因」と言っていた。
病院でもそういう事になっていた。それもあったのだろうが、本人もわかっていなかったのではないか。本当のストレスの原因を。


口で愚痴を吐きだすのは、大事だと思う。
自分だけで心の奥にしまい込むといつか病んでしまう。

昨日は、「今私たちが倒れるわけにはいかないから、気を付けようね」とだけ弟にはメールしておいた。

この文章を書いた後、母は手術することになったと連絡があった。