その後、私が就職し、アパートを引っ越しした後もK美は「またそっちに泊めて」と言ってきた。


二度と泊めたくないと思っていた私は、仕事が忙しいから無理だと断った。

が、翌日も「構わないから泊めて」と電話がかかってきた。

「あなたに会いに行くんじゃないから、あなたはいなくてもいいのよ。鍵を貸してくれたら勝手に入って寝とくから。」と言う。

しかもまた誰かを連れてきて、2人泊まりたいという。

言い方もひどいし、断ってるのに聞かない。なぜそこまでホテル代をけちるのか。そこまでお金が惜しいなら旅行しなきゃいいだだろうって言いたくなった。


何回断っても、毎晩電話がくるので、腹がたち、電話に出ない事にして無視した。そうするしかなかった。

すると次は、会社にまで電話が来るようになった。


たまたま、外出中で良かったが、K美からの電話がきたら外出中だとか出張中だとかと誤魔化してもらうよう会社の人に頼んだ。

社内の人が優しくて協力してくれ、うまく誤魔化してくれた。それでもしつこかった。


数日しつこく電話攻めにあったが、諦めたらしく来なくなった。


その後、同級生から聞いた話だが、私を利用できなくなったK美は、次は手当たり次第に知り合いを探し、よく知らない相手にも泊めてくれと頼んだらしい。
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お金は私より持っていると自慢していたし(自宅通勤で銀行に数年勤務)、毎年旅行したいと考えているなら、他人に迷惑をかけずに自分の責任で行動すれば良いのに、と他の人も愚痴っていた。


誰もが断ったようだが、結果、K美は良く知らない高校の先輩、しかも男性のアパートに泊まったと聞いた。
流石にその先輩は、狭いアパートの同じ部屋に泊めるわけにはいかず、K美達だけを部屋に寝かせ、先輩はどこか外で過ごしたらしい。

彼も困惑しただろう。顔しか覚えていない後輩の女性から、突然アパートに泊めてくれと頼まれるなんて。
断っただろうが、おそらくK美の事だから強引に頼み、泣きついたのだろう。


この話は、誰もが呆れてK美のおかしなお金の節約ぶりと無神経さは有名になった様だ。


私はそれっきり縁を切ったつもりだった。


それから年月が経ち、同級生からK美の噂を聞いた。

銀行をくびになったという。理由は男性を追っかけた事。

お金持ちで高学歴の人と旅行先で会い、その人を追っかけて(交際もしていないのに)、家に泊めてと押しかけていったとか。


お金持ちで高学歴なら結婚相手に良いとターゲットにしたそうだ。


旅先で知り合っただけの人にいきなり泊めてと押しかけるから、流石に相手も驚いたらしい。

で、相手が逃げ腰になったので、K美は仕事をさぼってその人の所に何回も押しかけていったとか。


無断欠勤を何回も繰り返したK美は、仕事を失い、その彼からも拒否された。


それから後の事は知らなかったが、例の同窓会で会い、K美本人から聞くことになった。


しっかり高給取りの人と結婚していたのは、K美らしい。


どうあれ、幸せならいい。もうこの人とは付き合わないし。と内心思った。

もうお母さんにもなっているし、あんな非常識な事はしないだろう。

就職してから、彼女は自分のしたいようにしていた。進学ができなかった悔しい気持ちを別の形で発散したのだと思う。

そして今、納得した人生を送っている様に見えた。

真面目に地味に生きてきたつもりでも、結果いつも愚痴ってばかりで老後が不安になっている私は何なのだろうかと思う。


夫もそうだが、周りの気持ちを気にせず、したいようにしてきて、結局自分に正直なら、その方が幸せになるのかな。これは私の僻みなのだろうか。

幸せそうに見せるK美にも、何か悩みはあるだろう。

今の私にはできない「幸せなふり」ができるだけで、羨ましいのだ。