社員の男性達は、全員既婚者で、落ち着いた感じの人ばかりだった。


その中に、朝礼のスピーチで、毎回沖縄について問題提起をする人がいた。沖縄出身で、当時から「もっと基地の問題を日本人皆に関心を持ってほしい」と話していた。


パートさん達も、社員の人たちも、興味なさそうに誰も話題にしていなかった。

昼食を外で食べようと数人のパートさん達と一緒に社外に出た時、男性社員数人とたまたま一緒になる事があった。

その中に、沖縄の話をした人がいたので、私は歩きながらその人に話かけた。「沖縄の問題、私も興味ありますよ。沖縄には友人もいるし、話は聞いています。」と。

「そうですか!」と言って、その人が私に沖縄の話をしようとしたその時だった。

「●●さぁん!見いーっけた!」と言ってニコニコしたM子さんがその男性に近づいてきた。


振り返ると、アイドル風な「うふっ♥」と言った感じの子どもみたいな表情と動作をしたM子さんがいた。

ハッキリ言って、M子さんにアイドル風は似合わない。


普段の姿と違い過ぎる。いつもしかめた顔で歩く人。この時は、ぴょこぴょこと身体を揺らして、手を可愛くまげてポーズを作る。

しかめた顔よりも可愛らしくする方が感じは良いが、でもとても違和感がある。

親しくも無い、仕事以外で話した事もない相手に「見いつけた!」と言って、べたっとくっつく。

男性社員も違和感を感じた様で、彼女を無視し、真剣な顔で私の沖縄の質問に答えてくれようとした。

お店まで歩きながら話すので、時間も無かった。

なのに、再び「ねえー。○○さあんてば。お昼一緒に食べましょう。どこにしますかぁ?」みたいな、一段高い甘えた声で、彼の話を遮った。

私は、M子さんに抵抗してまでそこで話す気もなかったので、彼とM子さんから離れて「また今度。」と言ってさっさと前を歩く事にした。


M子さんはその社員にお昼ご飯を食べる時も隣にくっつき、店を出てから会社に戻るまであの調子のまま離れなかった。

私はわざとその集団から離れて歩いた。


その後、M子さんは男性なら誰にでもこういう態度をとっていた。

普段、退屈になると私にくっついてきて、しかめた顔と低い声で、「全く家の爺さんが!」「早く出ていけと言いたいよ」などの愚痴を吐き出していた。アイドル風のM子さんとはまるで別人だった。