私にターゲットをしぼったM子さん。私より10歳若く、子どもさんはいなかった。

とにかく良くしゃべる。隣に来てずっと話しているので、私はただ聞くだけ。

「最近家を建てて、ローンが大変なのに、1人暮らしの義父が突然同居してくれとやってきた。旦那さんは抵抗したが帰らない。調べたら義父は借金まみれで、実家も売り払っていた。
子どももいないし、昼間家にいても義父と二人は苦痛だし、家政婦扱いだから仕事にでることにした。」と言う。

毎朝、私に昨夜はこうだった、と愚痴をこぼしていた。

私は、いつも聞き流すだけで、自分の家の事はいっさい話さないので、平凡な幸せな奥様と思われていた様だった。
色々聞かれるより、良かった。

M子さんの席は私の隣。仕事は、てきぱきしていた。


わからない事は担当の社員にその都度聞きにいく事にしていたが、M子さんがなぜかついて来る様になった。


そして話に割り込んでくる。

休み時間、私が他の人とお喋りしていても割り込む。私に話をさせない。


それまでしていた話題とは関係ない自分についての話ばかり、始める。
話の中心になっていく。


その後、周りに人がいなくなると、私に寄ってきてまた家の愚痴を話し始める。

「最近は義兄まで、家に入り込んできたのよ。しかも彼女まで一緒に。その人私より年上で、住む家も無い浮浪者みたいな人なのよ。ご飯も私が作るのよ。食費も私たち夫婦が負担しているの、もう耐えられない!早く出て行ってほしい。でも、義父が息子が可哀想とか言って、ひきとめるのよ!私たちの家なのに!」
と訴える。


「子どもも作りたいのに、これでは益々できないわ。ただでさえ、旦那が作りたがらないっていうのに!」とよくこぼす。

どうやら、ご主人の事は大好きみたいだが、ご主人から愛情表現が無い事にも不満が溜まっている様子だった。
確かに家がそんななら大変だなと同情はしたが、M子さんを見ているとどうもその大変さが伝わらないのだった。

お金持ち風奥様パートさんと、子どもの学校の話をしていると、会話に割り込んできて、「私もブランド好きなんですぅ。いつもお買い物に行ってるの」と言って、「私もセレブなんです」アピールしてきた。私に背中を向け、絶対にお金持ち風パートさんと話させないぞという体勢をとる。私が言葉を発すると、上から声を出して消し、聞こえないふりをする。

M子さんて少し変わってて、面白い人だわ。こんな人初めてだ。この土地には面白い人がいるのね。

家が大変なのに、パワフルで凄いわと思っていた。