先日テレビの番組で、仲良さそうな60歳位のご夫婦が出ていた。たまたま街で声をかけられた風だったが、そこのご主人を見ていて思うことがあった。


15年ほど、単身赴任をされていたが、ある事がきっかけで退職し、家族の元に帰って自営業を始めたそうだ。


今、その仕事で出張中だったが、奥さんも一緒に連れて来ていて、空いた時間を一緒に遊んで過ごしているところだという。

なぜ退職されたのかと理由を聞くと、
「単身赴任で長男とはほとんど一緒に暮せなかった。ある時長男が、”うち、親父いねーし”、と人に言っているのを知った。これではいけないと思った。次男にも同じ思いをさせたくないと思い、仕事を辞め、家族と一緒に暮す事を選びました」


そうだよね。普通のお父さんならそう思うよね。

でも、この方は、恵まれた方だった。最初の仕事は、官僚。辞めて始めた仕事は税理士。


能力のある人はいいよなあ。辞めるにしても、きちんと先の生活を考えてご自分の能力を活かしていける。しかも常に責任感に基づいての行動をされている。

仕事もハードで、ストレスが溜まりまくっていたとおっしゃっていた。何をするにしても、真面目に取り組む方なのが伝わった。


それに比べ、何の手に職もなく、資格もなく、ただ地元の国立大学をでたというだけのうちの夫は、自分はエリートと勘違いして、仕事を馬鹿にして嫌な事があるとすぐ辞めて、結婚も責任が重くて嫌になって逃げて、自分は社長になるべき人間だと言って、何の信念も無いまま自営を始めて失敗する。

子どもがどんなに苦労や我慢をしようと、目を背ける。「これではいけない」なんて思わない。

私が子どもの事を考えろと訴えた事もあったが、「誰のせいだ」とか「社長のせいだ」とか訳のわからない言い訳しかしなかった。


テレビのこのお父さんは、仕事でやむなく単身赴任だったわけだが、うちの場合は、自分から出ていったのも違う。


想像した。もし、この番組を夫と一緒に観ていたら、きっと夫はこう言っただろう。

「僕と全く同じじゃないか。やっぱり自営が一番だよなあ。僕は悪い人に足を引っ張られて被害にあったけど、この人は運がいいよ。」
と上から目線で偉そうに。


「全く違うよ。天と地の差ほど。」と言ってやったらどんな反応するだろう。
また「○○のせいだ!」とどこまでも自分を守るだろうな。


同じ別居生活でも、老後こうやって家族を愛しむ人なら苦労した甲斐があるだろう。