⇒続き


義実家は、彼(夫)の嘘を信じて息子の彼女を待っていた割には、何の準備もしていない感じがした。
騙されたとは言え、私も手ぶらだったし仕方ないが、お客を待っていたという雰囲気ではなかった。


両親ともパジャマで、通された部屋は雑然とした居間。

義母は
「古いお茶葉しかないわ。飲めるかしら」
と言いながら、その古いお茶をだしただけだった。

どうせまたすっぽかされると思っていたのだろうか。


嫌、多分、どうでもよかったんじゃないか。義兄の結婚の時とは雲泥の差だったろう。


義兄の結婚相手は、義母が選んだ。

結婚式まで義母が熱心に口をだしたという。
そして次男の彼には
「あなたは結婚式はしなくてもいいわよ。お兄ちゃんだけはきちんとしてあげたかったけど、あなたはどうでもいいわ」
と言われたという。


そして「お金のある家の人を選ぶのよ。」とも言われていたらしい。義母は、お金持ちの嫁であれば誰でも良かったのだろう。

ただ、プライドが高いので、私にすっぽかされたとなると余計に気に入らなかった事だろう。


驚いたのは、義母が私の実家の事を調べていたことだった。会う前から父の職業、弟の仕事まで知っていたという。

うちはお金持ちとはとても言えない家だったのも気に入らなかったのかもしれない。


おそらく彼が教えていたのだろうが、私には「親には君の存在はいっさい内緒にしている」と言っていた。

何もかも嘘だった。勝手に作戦を練ってやった事だろうが、あまりに自分勝手な、今思えば夫らしい自己満足な行動。


こうやって、人と人をもめさせる。自分の目的の為に。考えが浅く、甘い。義母の性格もあんなだし、仕方ないかとも思える。


義母は実家の住所を聞いて、近所や知り合いに私の実家の事を聞いて回っていたようだった。それは、かなり後から知った。


母が、近所の人から聞いてわかったのだ。



私は、理不尽で、不愉快な義親との対面の後、彼にきっぱり言った。


「あなたとは結婚しません」